眼下に街が一望できるガラス窓のこちら側。
椅子に深々と腰かけた鳥居は、太い指に嵌められた幾つもの指輪を撫でながら、視線を輝きを増す夜の街へと向けた。

「…ボンゴレめ」

あんな餓鬼が10代目だと。ふざけるな。それになんだ、この守護者たちのリストは。…どれもこれも、10代目と歳の相変わらないガキ共ばかり。
血迷った。としか言いようがない。

あの男。暗殺部隊のボスで恐れられている人物・XANXUSもそうだ。
以前クーデターを起こし、さらに反乱をも引き起こしたというからどんな男かと思えば。…結局は腑抜けた考えの持ち主だった。


マフィアは富だ。


富を得る為の暴力は当然のこと。
最終的に人民や、部下や、その他を従えるものは、暴力的なまでの「力」…。それだけだ。



――「俺達ボンゴレは人殺しの集団じゃない。」

「チッ」


いつまで綺麗事をぬかすつもりだ。
前の代のボンゴレボスも同じだった。
奴も、沢田も、同じ目だ。
自分達は間違っていないと確信している。
意志の固まった強い目。

鳥居はそれが大嫌いだった。――何を言っても、どう攻め込んでも、それは決して揺るがないからだ。


「…崩してやる」

完璧に作り上げられているように見えるものほど、内側から崩せば御し易い。
(身を引いてやる)
…ひとまずは、だ。

ボンゴレを崩すためのシナリオを考えなければ。

ニヤリと醜く笑んだ鳥居は組んでいた指をほどき、そばに合った受話器を手にした。愛しい、いとしい愛娘の番号を押す。彼女は父にとって娘であり、また、大切な商売道具だったのである。

思考に落ちる

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