ザンザスの溜息が聞こえる。分かる、分かるとも。呆れかえってるよね。でも許して!私まだ思ってたよりガキでした。
「ガキ」
「うっ」
亜里沙相手にやきもちなんかやいてる私を面倒に思ってるハズだ。あーあ。

「なまえ」
「?」
「あんなドカスに妬いてんな」
やっぱりね!
「ふ、フーンだ!どうせあたしは器のちっちぇーおこちゃまですよー!」
「その通りだ」
「全肯定!」

ガンッとショックを受けている間に体を離される。(やべ、これ本気で怒らせたんじゃね…?)

「ご、ごめ、ザ」
「謝んなカス」
「うわ」

思いの外瞬微な動作で肩を押され呆気なくソファに倒される。ザンザスの片手は私の首を軽く締めた。
「あ、あかん!殺される!」
「るせぇ」
「きゃう」

急に顔が寄せられたかと思えば、耳元に息がかかり、次の瞬間耳たぶを食まれた。
(ギャーあたしの大事な福耳が!)
…そんな台詞が口から飛び出てこないのは、口を開けば嬌声すら漏れてしまいそうだったからである。

「ちょ、ザ……っ」

舌が差し込まれ背中が一気に粟立った。
くちゅりと聴覚を刺激する、いやらしい音に、本気で泣きたくなる。

「言ったはずだ…。テメェは俺のもんだと」

「…っぅ」

「理解れドカス」

顔は見えなかったのに、ザンザスが笑ったのが分かった。
耳に直接吹き込まれた声は甘く、低く、腰のあたりをむず痒くさせる。言葉を耳に閉じ込めた私は心の底から思った。――麻薬…だ。

痺れた脳髄
(俺は、テメェのもんだよ)

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