浅い眠りに入っていた私の耳にピルルルと携帯の呼び出し音が飛び込んできた。ザンザスかも、と期待を込めて携帯の液晶画面を覗くと「ルッスーリア」の表示。ザンザスではなかったけど私のテンションはポンと跳ね上がった。 「Ciao!(もしもーし!)」 『Ciao, è io(ハァイ、私よン)』 「Lussu! Piaci!(ルッス!大好き!!)」 『Oh mio caro. Stancato notevolmente(あらあら。相当疲れてるのね)』 普段言わない事を言うとこういう勘違いをされる。…というわけではない。 普段から言いまくっているけどルッスーリアには私の気持ちが筒抜けらしい。私の現状を知っているから、尚更かもね。 「Io voglio mangiare una torta di Lussu. Io voglio bere tè. Parlato; sarà!(ルッスのケーキが食べたい。紅茶が飲みたい。お話したいよー!)」 『Ritorna presto. Non c'è una persona per parlare a, e sono gratis, anche?(早く帰ってらっしゃい。私も話し相手がいなくて暇なのよ?)』 そう言ったルッスーリアだが、受話器のあちら側は中々騒がしい。私はくすりと笑いを漏らしながら続けた。 「Come circa quell'uno?(そっちはどう?)」 『Favorevole.(順調よん!)』 ルッスーリア曰く、ザンザス達三人が不在の今、大体の仕事は他の部署に回されるんだとか。 それから随分長いことルッスーリアとの会話を楽しんだ。久しぶりのガールズトークに胸が弾んでしまうのは仕方ない事だと言いたい。 『やあ、なまえ、君イジめられてるんだってね』 「うわ。マーモン…なんで日本語?」 『たまに喋らないと忘れそうでね』 「ふーん」 『ねえ。暴力を使わずにもめ事を解決する方法を教えてあげようか?』 「え?なんか…分かるからいい」 『金だよ』 「やっぱり」 『下っ端に渡しても駄目だ。奴らを動かすボスを莫大な金額でオトさないと』 「や、その辺で」 『貴様何をボケっと突っ立ってる!』 「うるさっ…。どちらかというと寝転んでるけど」 『なお悪い!』 「うるさいな。レヴィは」 『なぬ!?』 「私いなくて寂しい?」 『なっ……まあまあ、だ』 「そっかそっか寂しくて泣いちゃってるか。ザンザスに言っとこー」 『なぬっ!?』 「ちなみにそれ2回目ね。―――あ。」 階段を上ってくる気配を探知した。私はフムと考えを巡らせて(この間レヴィは説教をたれている)、にやりと口元を上ずらせた。 「(いーこと考えた!)レヴィ、ルッスに替わって!」 足音で分かる歩幅、体重、身長、歩き方の癖などから人物を連想して、私は上体を起こした。 さあ、ちょっと面白い事を始めましょうか。 愛しのザンザスに置いてけぼりを食らった私の鬱憤、ここで晴らさせていただきます! 八つ当たり ×
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