「本部でのアルギットの交渉に居合わせた!?」
「うん」
「だだだって!そんなことしたらヴァリアーがザンザスの他にも日本に来てるってバレんじゃん!顔割れちゃダメでなんしょ!!?」
「まー聞けよドチビ」
「誰がドチビだ!」

9代目のいる本部にアルギットの現ボス・鳥居が現れたのは間違いないだろう。そこで会合の日取りをこぎつけたんだから。
だけどその場に立ち会えるのは9代目と本部のえらい人数人のはずだ。

「ボスが日本行き決断した後、任務だったスクアーロのかわりに俺が本部に一言入れに言ったわけ」
「(許可取りに行ったんじゃないんだ)」
「したら何か見覚えあるデブがいんじゃん」
「アルギットのボスね。えー…すごい偶然」
「そ。あーしかも、あいつアポ無しだぜ」
「!!」
「イカレてんだろぉ。それ聞いた時ゃ俺もキレかけたぜぇ」
「じ、常識無いにもほどがある…」
「だが丁度暇こいてたジジイには奴の相手ができた」
「そ。んで、その情報を掴んだ俺は本部のメイドを押し倒して服引っぺがして」
「ベルあんたなんてことを――!!」
「かわりに俺の服やったんだからいくね?」
「…」
「そんで、メイドに成りすました可愛い俺は室内の侵入に成功。ちゃっかり最初から最後まで聞いちゃったってわけ」
「よくバレなかったね」
「バレたに決まってんだろぉ!!」
「バレたんかい!」
「ししっ。本部の連中にはさすがにな」

すまし顔で告げるベルに一切反省した様子はない。むしろどこか誇らしげだ。

「でもオマエが任務行ってるのもあって結構簡単に許してもらえたぜ」
「へー…運の良い奴」
「だって王子だし?」
「じゃあ、ザンザス達が来ようとしてたのと綱吉が呼んだのは偶然カブったわけか」
「……――うぜェが、沢田の配慮だ」

私は驚いてザンザスを見た。
ザンザスは相変わらず苦々しい顔でお酒を飲んでいる。
「うん…そうだね」
次会いに行った時お礼言わなきゃ。心の片隅でそう決意した。
――で、つまり明日はその会合なわけか。

「なに亜里沙のやつ、嘘ばっかりじゃん」
「?」
「や、実はさっきさー

『アンタも知るボンゴレファミリーに「ぜひ一度会って話をしたい」って言われてんのよね、うちのファミリー。だからこっちに合わせて会合も日本でやるの。パパは明日の会合でボンゴレを傘下にしてアルギットファミリーを拡大するんだって!キャハハ、いよいよアンタなんてアリみたいに潰せるようになっちゃうわね!覚悟してなさいっ!』


…って言われちゃってさ。」

私の声真似はさぞ似ていた事だろう。ザンザスのグラスにパキリとヒビが入った。

ね?あたしよく堪えたでしょ
あの場で大爆笑しなかったことを本気で褒めてほしい

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