「おい、苗字のやつ生きてるぜ」 「死んじゃえばよかったのに」 「つーか誰だよアイツら」 「そういえば朝、先生が新しい生徒と先生が入ってくるって言ってたけど」 「じゃああの人たちが??」 「なんか、苗字と知り合いっぽくね」 「うわっ」 「今ヘリから人が二人…!!」 亜里抄は窓から外を見た。埃でほとんど見えなかったけど、直ぐ前を銀髪の人と金髪の人が飛び降りていくのは分かった。――ヘリが再び飛び去り、今度は春の突風が吹き荒れる。 その所為で土埃は晴れて視界は開け、4人の姿ははっきりとうかがえるようになった。 彼らを目にした誰もが、美男美女の集団だと認めるだろう。 しかし亜里沙は違った。 スクアーロ、ベル、ザンザスと順番に舐めるような視線で見つめ、うっとり溜息を吐く。全員、超格好良いじゃない!亜里抄の王子様にぴったり。 (決ーめた…あの人達みんな亜里抄のものにしちゃお!) そして視線は憎々しげになまえへ移る。 あいつはあの人たちと知り合いみたいだけど、そんなの関係ないし。男はみーんな亜里抄のものなんだもん。格好いい人の隣にいるのは同じくらい可愛い亜里沙だって決まってるんだから…! 「亜里沙、安心しろよ!」 「え?」 「もしあいつらが苗字の仲間だったら、俺達が守ってやるからさ」 「だからそんな不安そうな顔しないで!」 「…っありがとう」 アンタ達に頼らなくたって、亜里沙は自分でどうにかできるっての。 亜里沙と一緒にいて、亜里沙の事好きにならない男なんて存在しないし。そもそも、あっちに勝ち目なんてあるわけないじゃない。 権力があって 可愛くて 苛めに耐えてる女の子――なんて最高でしょ? 「(奪ってあげるわ)」 点火された悪意 ×
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