「景吾お坊ちゃま」
「アーン?じい…その呼び方は止せと何度も」
「お電話です。苗字なまえという人物から」
「……なまえ?」

渡された受話器を耳に当てる、保留音を切ればやけに切羽詰まった声が耳朶を揺さぶった。

『あ、跡部さんのお宅ですか、夜分遅くに申し訳ありません、景吾様はご在宅で』
「居るに決まってんだろ」
『あ、跡部!?もう!この台詞長いんだけど!何回も言わせないでよ!』
「何回も言うことじゃねぇよ」
『あ!そんな事言ってる場合じゃなかった』

その台詞を境になまえの声色に真剣みが増した。


『今からこっちに来れる?ジローと樺地も連れて』





***


跡部達がなまえ達の屋敷に到着したのは、彼女から電話を受けた一時間後。午後九時半頃のことであった。
跡部、ジロー、樺地の三人は綱吉達の向かいに座らされた。

「紹介するね」
咳払いを一つしたなまえ。
「こちら氷帝学園生徒会長で、テニス部部長の跡部君」
「…テニス部だと?」
「ちょっと獄寺…もー睨まないの!」
「ガキ扱いすんじゃねぇ!つーかなまえ、テメー何でこいつら呼んだんだよ!」
「ま、まあまあ、獄寺君」
はなから喧嘩腰な獄寺を宥める綱吉。

「仲間だから。」
「…」
「それにこの計画には、彼らの協力が絶対に必要なの」

静かになった獄寺を見て、私は紹介を続けた。


「で、その隣がテニス部員のジローと樺地」
「何か分かんないけど、よろしくね〜」
「…ウス」
「……。おいなまえ。こいつら誰だ。見たとこ俺らと、そう歳の差は無さそうだが」
跡部が首をひねりながら尋ねる。

「うん。皆中学生だよ。スクアーロの隣にいるのが山本で、その脇が良平」
「ちッス」
「極限に宜しく頼む!」
「その隣が獄寺で、その後ろのソファで寝てるのがランボ。」
「アホ牛と説明まとめてんじゃねえよ!」
「その隣にいるダンディな赤ちゃんが、リボーン。凄腕のヒットマンだよ」
「チャオッス。」
リボーンはエスプレッソをテーブルに置くと、ぴょんっと私の肩に跳ね乗った。

「お前らだな?なまえが気ぃ許してるテニス部員ってのは」
「ちょっとリボーン?」
何を言い出すつもりかと警戒したが、何の事はない。彼ら三人の前に立つと「しっかり守れ!」とそれだけ言い放った。突然現れた赤ん坊の一喝だったが、跡部達は真剣な顔でこくりと頷いてくれた。


「で、最後に、こちらが沢田綱吉。ボンゴレ10代目」
「………は?」
「さあ自己紹介も済んだことだし、本題に入」
「いや待て!!お前今なんて言った??10代目…!?」
跡部の混乱した表情は非常に珍しい。
ジローなんかはわけが分からずにちんぷんかんぷんと言った様子だ。
「い、いや!10代目って言っても、おれはなる気ないし!だからその…なんというか!」
「仮だ。」低く訂正を切ったザンザス。
釈然としないまま驚きに包まれている様子の三人だったが、私は時間を考慮して話を先へ進めることにした。

「もう時間がない。」

アルギットファミリーを完膚なきまでにカッ消すために、
氷帝の生徒の命を救う為に、
亜里沙の裏の支配から、氷帝テニス部を解放するために。

「全員。私の計画に乗ってもらう。」

反撃準備

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