私が朝練に顔を出すと、忍足達は目に見えて驚愕していた。
まさか昨日袋叩きにした相手がけろりとした表情で自分達の前に現れるとは思ってもいなかったのだろう。
いや、実際体中痛いし腕も折れちゃったしで全然けろりじゃないんだけどね。
ここはプライド突き通させていただきましょう。

「おはようございます」

誰からの返事もないのはいつもの事だ。
私の背中を跡部が押した。
「後ろつかえてんだろ、早く入れ」
「あ、はい」
「朝から走ったから何かいつもより眠くないC〜!ラッキー」

跡部達が一緒に登校してきたことにも驚いているようだ。結局朝練は睨まれるだけで特に何も言われずに終わった。
しかし本当に厄介なのはこの後である。








「聞いたか?苗字の奴、ついに亜里沙のこと階段から突き落としたらしいぞ」
「うっわ、信じられねえ」
「流石にやり過ぎだろ」
「警察来るんじゃねェの?」
「いや…亜里沙が事を大きくしたくないって、警察は呼ばなかったらしい」
「あいつどこまでいい奴なんだ…」


「苗字本当にありえない。」
「昨日レギュラーにリンチされたらしいよ」
「えー?でもピンピンしてんじゃん」
「レギュラーの人達も優しいから、一応手加減してやったんじゃね?」
「あいつテニス部何でやめねーんだよ」
「マジウザイよね」
「性格悪い奴ってかわいくてもそう見えない」
「ほんとそれ!だって私今苗字ブタにしか見えないもんっ」「ギャハハ、それうける」


「……」

うっぜぇぇ

己の頭のはえを追え
亜里沙からは助けてあげる。でもそれ以降は知らん、のたれ死んでたら笑ってやるよ!

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