「こんないい天気の日に買い出しなんてついてねーよな!」
そうぼやくモン太にセナは軽く笑って見せた。(内心ではモン太と同じように学校で練習をしたいと思っているのだが。)
「サッカー部と野球部が明日試合だから、グラウンドは優先的に使われちゃうんだよね」
「ヒル魔さんが不機嫌MAXだったのってその所為か?」
「あ、それはたぶん」
なまえがいなくなったから、と続けようとしたセナは、ふと視界に映ったある人物に目が釘付けになった。
(阿含さん!?それに、あれは――――なまえ…!?)
カインズタワー前の噴水の傍で、地面に座り込んで阿含を見上げるなまえ。阿含が何か話しかけ、なまえは一生懸命首を振っている。
「お、おいおいおい!セナ、あれ阿含となまえじゃねーか!?」
モン太もそれに気が付いたらしく、さっと顔を青ざめさせた。
「うん…!」
「カ、…カツアゲ、されてたりして」
「!!」
カツアゲ!?そ、そんな状態の二人を放っておいたら、あとでヒル魔さんに殺されかねない。でも今飛び出していっても、阿含さんに勝てる見込みは0,01パーセントにも満たない。
「………なまえを見捨てるわけにはいかない!」
「お、おうとも!!」
「じゃあモン太…こういう作戦で行こう」
セナは道端の植え込みの陰にモン太を連れて隠れ、真剣な顔で作戦を説明した。
「じゃんけんで負けた方が、阿含さんの後ろの噴水に飛び込む!」
「おお…!」
「そして阿含さんがビックリしてるうちにもう一人がなまえを連れて逃げる」
「恐ろしく分かりやすい作戦だけど大丈夫なのかこれ」
「わ、わかんないけど…」
「やってみる価値はあるな!」
「うん!」
「よし、じゃあセナ、噴水に飛び込む方をジャンケンで決めよう」
「そうだね。じゃあいくよ!最初はグー!」
「ジャンケンッ」
「「ポイ!!!」」
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