泥門高校を出て泣く泣く待ち合わせ場所に向かっていると、少し先の自販に見覚えのある後姿が。

「お前、確かヒル魔の…」
「あ!!」

白い長ランを翻してこちらを向いたのは、確かこの前よー兄にいたぶられていたカメレオンっぽい人だ。私の姿を確認するや否や、渋い顔をしてバイクにまたがった。
「じゃあな」
「あ、ちょ…待ってください!」
「なっ!ま、待つわけねェだろ!俺はテメェに関わるとヒル魔にボコボコにされる予感がする!離せっ」
「どこのどなたかは存じませんが!あの、どうか助けてください!」
「どこのどなたか存じてんだろ!この前自己紹介したの覚えてねェのかよ!」
「すいません、おっかなくて」
「チッ!」
「舌打ち!こわっ」
「葉柱ルイだ。覚えとけ!」
「は、はい!」

葉柱さんはとても恐ろしかったが、しかし私は彼の袖を離さなかった。
どうしても訪ねなければいけないことがあるのだ。

「カインズタワーへは、どう行ったらいいんでしょうかっ」

 

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