短編 | ナノ
意地っ張りな二人への5題:ルッチ

「何がしたい?」

「しっ!いいから、黙って動かない!!」

ソファーに座るルッチの膝の上に、向かい合わせに跨るように座る女狐。
彼女の視線はルッチの肩越しに見えるジャブラに固定されている。

「また奴と喧嘩したのか?」

「なんで分かったの!?エスパー!?」

「いつものことだろうが。くだらん」

「くだらなくないわよ!この面白ヒゲ眉毛………いだだだだっ!!」

ルッチは無言のまま女狐の頬を抓り上げた。
本当に口の悪さだけは天下一品だ。
手加減なく捻り上げた頬を解放すると、女狐は目を潤ませて鼻を啜る。
『頬がもげるかと思った………』と呟きながら、真っ赤になった頬を押さえた。

「で、野良犬を見て楽しいのか?」

「割と楽しい……じゃなくて、隙を窺ってるのよ」

「奇襲でも仕掛ける気か?」

「違うわよ!謝るタイミングを探してるの!!」

そう言ってぎゃんぎゃん叫ぶ彼女だが、隙を窺うどころか思いきりジャブラに不信な目を向けられている。
恐らくは自分が隠れるためにルッチの肩越しに様子を窺っているのだろうが、ここまで騒いでいれば見つからないはずがない。
このバカに関しては、溜息をつくのさえ勿体無い。


04:肩越しに窺って



「てめェは、なんでCP9になれたんだろうな」
「え?優秀だから?」
「………さっさとどけ」

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10/02/28

by追憶の苑

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