実験少女黒髪2
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「怖い人?」
少し眉間に皺を寄せ、すこし頭を傾け疑問符を頭上に浮かべるだーやま君はとても絵になります。
この学校には怖い奴しかいないだろう、と彼は意見しましたが、こんなにすごく同意できることがありますか。
よく考えれば、怖くないのはだーやま君か先生たちくらいですね。
「最近…というか、昨日知り合った方なんです。怖い方ですよ〜」
「喧嘩強いとか、見た目とかか」
「全部です、全部。あ、でも背はだーやま君と同じくらいでしょうか。それでも威圧感はハンパないです」
「…なんかあまり思い浮かびたくない人物が出てきたぞ……」
「そういえば、今日名前を知ったのですが、思い出しました。私すらも噂をチラホラと耳にしたことがあるくらいですから、相当有名なんでしょうね」
「あんた何気にすげえよな。周囲のことあまり気づかなくせに。ところで、そいつってアホ毛はえてるあの人か?」
「そういえば、ぴょこぴょこしてますね」
「三つ編みの」
「そうそう」
「うわあ…あの人か……。つか、お前すげえな。あんなおっかない人と」
「運命なのですよ。運命」
「嬉しいのか」
「運命と嬉しいは全く違いますよう」
「まぁそうだな」
「でも、お話できる方が増えて嬉しいです」
「嬉しいんじゃないか」
確かに、きゅーちくるな笑顔の裏にある真っ黒いモノはとても怖い。べりー怖い。
それでも、友達が少ない私にとっては、話し手ができてちょっぴり嬉しいのです。
また会ってしまうのがイイような、ワルイような。
どちらかといえば、ワルイ方なのかもしれません。
「うふふ…」
「何ニヤニヤしてんだよ。春菜これ持ってて」
「合点承知の助」
「めいって髪の毛ふわふわだね」
「あっ、それ第一印象だったわ。髪ふわふわ」
「別に大したことしてませんよ。だーやま君も神威さんもサラサラしてていいじゃないですか」
「でもボリュームがないだろう」
「そうそう。特に俺なんかアホ毛が嫌で」
「あまり気になりませんがねえ」
「ていうかさ、これいつまで続くの。さすがに突っ込んで欲しいな、俺」
「━━━━神威さん!!!??」
「ゲッ」
「君ら今気づいたの。わざとかと思ってたよ」
神出鬼没の神威さんです。
あのだーやま君がカチンコチンになってしまいました。
神威さんは、相変わらずラブリーなすまいるです。
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