なんでなの。
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ムカつく、あの金髪。
お前なんかにあいつは絶対渡さない。必ず、必ず俺のものにする。全然悔しくはないけどなんかあのアレだったから目の前でキスをしてやった。見ろよあのめいの顔、真っ赤っかにしちゃって。絶対俺のこと好きだよね。あれは俺に惚れてる。まぁ別に俺は何とも思わないネ。だけど、ほかの奴には見せられないよ。全然ほんと可愛いってわけじゃないけどネ。可愛くないよあんなやつ、バカだし。絶対可愛くないし可愛くないし可愛くない可愛くない……
可愛い 。
とりあえず、阿伏兎のところへ戻ろうか。
「よー、ちゃんと謝れたのか」
「あっ忘れてた」
「なにやってんだすっとこどっこい」
思うのは簡単、しかし実践は難しい。特に俺みたいなツンデレシャイボーイはね。俺は阿伏兎をめいに見立てて練習した。最初は頑張れたけど、途中でお互いに吐いて中止。慣れないことはするものじゃないよ全く。
「はぁ……どうするんだよ」
「そんなの阿伏兎が考えろよ。お前はそういうの得意だろう」
「ちったぁ自分のことは自分でできるようになりやがれ」
「うるさいなぁ。明日いうよ、明日」
それから1週間経った。
俺はまだ彼女との関係を修復できていない。
めいとはなかなか接触ことができなかった。俺から行くと彼女はぴゅーっと逃げてしまう。そう、俺は積極的に行ったんだよ。俺は悪くないだろ。それに、なにから思い詰めているようだった。俺には関係ないけどね。何かあったのかな。まさか…俺が原因なのだろうか。俺がいきなりキスしたから忘れられずに四六時中そのことを…。
「おいだん……何ニヤけてんだよ」
「何言ってるんだ阿伏兎。いつものキューチクルなスマイルだろう」
「いや今の絶対ニヤけてただろ。なんか気持ち悪かった」
「どうやら今日がお前の命日らしいね。なかなか使える部下だったから惜しいよ」
「ちょーーごめんなさいごめんなさい!!!あっさっき嬢ちゃんいたよ!!もうすぐ玄関つくだろ!!!行って来い!!」
「チッ」
最近は朝から学校に来るようにしていた。おかげで健康的な生活を送ることができるようになったよ。
俺は自身の俊足を使って彼女のもとへ急いだ。玄関についたとき、めいは下駄箱の前でぼーーっと突っ立っていた。なんだ、立ったまま寝てるのか。あいつにならあり得そうだな。
「あっ、めいだ」
偶然を装う。
「そんなとこに立って何してるの」
彼女は倒れた。
「……めい」
えっ。なにどうしたの。俺に声をかけられたのがそんなに嫌だったの。違うよね、めい俺のこと好きだよね。何かあったんだな、そうに違いない。俺に声をかけられて死んだふりしたんじゃないよね。眠くて居眠りしちゃったんだ。最近あまり練れてそうじゃなかったしね。ほら全然起き上がらないよ。こんなところで居眠りなんて常識がなってないな。俺が調教してあげなきゃね。みっっっっっっっっちりと。
「何見てるの。殺しちゃうゾ」
俺がめいを担ぎ上げたとき、少し離れたところで様子をうかがっている男がいた。声をかけるとすぐに姿を消してしまったが、この上なく怪しいな。それにめいのそばに落ちていた桃色の便箋。書いた奴を阿伏兎に調べさせるかな。俺はめいの看病をしなければならないし。
「俺が守ってやるからね」
めいは少し安心したように眠っていた。
「嬢ちゃんと同学年の奴。クラスは隣だ」
「それだけ知れたらいいよ。じゃあ行こうか」
「へいへい。嬢ちゃんはまだおねんねか」
「保健室にいるよ。起きたらお仕置きだ」
「いや謝れよ。どんだけ先延ばしにするつもりだよ」
「今回特別に守ってやるんだからもういいだろう」
「都合いい奴だなアンタ」
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