助けて三つ編みの人
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「おかえ……」
家に入ると、既に翔が帰宅していました。何故当たり前のようにここにいるのですか。あなたの家は別のところですよ。子供は夜6時までに帰りなさい。
それにしても、寒気がします。さっきの気持ち悪いちくちくが残っています。神威さんのしつこさより嫌な感じです。
「姉ちゃんどうしたの。顔が青いよ」
姉思いの弟は私の様子がおかしいことに、すぐ気づいたようです。彼は私の頬を触ります。そんなことはいいので、はやく実家に帰りなさいよ。じゃないと、またあなたの学校まで1時間歩くはめになりますよ。ほんとなんで来たのアンタ。
「別に何もないわ。さっき少し走ったからかしら」
「姉ちゃんが走るなんておかしいよ。何かあったんだろう、俺に言いなよ」
「姉ちゃんもたまには走りたくなるのよ。高校生だから。何もないからはやく家に帰りなさい」
「嘘だ!だって走ること大嫌いじゃないか!とにかく、今日も泊まるから!」
「最初からそのつもりだったでしょう。早く帰りなさいよ。じゃないとまた長時間歩くはめになるわよ」
「まさか2時間もかかるとは……」
この後翼が怒鳴り込み、彼の晩御飯は麗しき卵のからでした。どちらも結局泊まっていきますし。何なんですか邪魔ですよ。全く、明日こそ出ていってくださいね。本気とかいてmaji。
お風呂はに入り、私は大好きな大好きなお布団へ寝転びました。はぁ……癒されますね。高収入な男性へ嫁にいきたいです。そして、平日の昼間からごろごろーごろごろー…はーあ、チーズ蒸しパンになりたい……と思いたいです。
今日は色々なことがありすぎて頭の中がCongratulationsです。朝は……なにがありましたっけ。覚えてないですが、神威さんが迎えに来てくれましたね。とても嬉しかったし、彼のことを見直しました。何があったかは覚えていませんが。この後も見直してしまうのですよね。悪い方向へ。神威さんはなにをしたいのでしょうか。マジなんなのアイツ。私に曖昧は通じませんよ。お馬鹿ですから。……あら、なんだか目の奥から汗が……。
そしてそして、ちくちく感じる視線は何でしょうか。とても……とても怖いです。明日になったらなくなっているといいのですが……。まさか神威さんじゃ。あり得るかもしれません……怖すぎます。あの方は何かと私にかまってきますし。なにを考えていらっしゃるのやら。検討もつきません。いざというときにはジャスタウェイ投げしますよ。すごいんですから。そうだ、明日仕返しにやってやりましょうか。ふふふ。
私は不敵な笑みを浮かべ、布団に潜りました。
「何故、私がこんな目に……。何か悪いことしましたかね。ジャスタウェイがいけなかったのでしょうか」
ちくちくは、明日の朝も明後日も1週間経っても消えませんでした。登校時も下校時も、さらには休憩時間や校内を移動するときにも感じます。私は周りにバレないように隠し、普段通りに過ごすことで精一杯でした。怖くて怖くて、誰にも言うことができませんでした。ジャスタウェイのことも、すぐに頭から離れていきました。私の頭のなかはずんずんとけ嫌悪感と恐怖に侵食されていきます。
そして、ある日のことでした。
ちくちく感じる視線を気にしながら登校し、下駄箱を開きました。
「ギャッ」
そこには、上履きの上に桃色の便箋が一通置いてありました。
普通は「これはらぶららららぶらぶらぶぶぶぶらぶ……letter!!!???」と言うところですが、このときの私には気味が悪いとしか思えませんでした。思っていた以上に続く嫌な感じに疲れていました。
私はおそるおそる……手紙を取り出しました。
「あっ、めいだ」
そして、読みました。
「めいそんなことに立ってなにしてんの」
目の前が真っ白になりました。
「……めい」
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