橙色の三つ編みと黒色のセミロング | ナノ



悩むセミロング
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「俺本探してくるから。春菜は適当に見てきなよ」


あのですねだーやまくん、私今本なんてみてる場合じゃないんですよ。さっきのことで頭がいっぱいいっぱいなんです。助けてくださいよ私夜兎工で友達はあなたしかいないのですからってあぁ!もう姿がない!私の頭にこびりついた神威さんを取り除くってさっき言ってたじゃないですか。嘘をつくのですか。ついちゃうんですか。彼はまだしつこくこびりついてきてますよ。浸け置きしても綺麗になりらないくらいですよ。それに大きくなっているのです。まるで細胞ですよ、分裂して大きく広く侵食していきます。今少し頭良さそうなこといった気がします。エッヘン。うーん、しかし今話しても私の頭のなかはとんちんかんちんミックスジュースなのであまり意味がないのかもしれませんね。またにしましょうか。

とりあえず、彼が戻ってくるまでぷらぷらと本を物色することにしました。私、普段あまり本を読まないんですよね。夜兎工で本を読むってだーやまくんくらいですよ。この学校では正直異常です。クラスにはわりと溶け込めていますが。しかもクラスを仕切ってるような人です。スクールカーストで言うと1軍ですね。トップオブトップ。ちなみに、私はぼっちなので除外です。ちょっと目に鼻水がたまってきました。とにかく、頭がよくて誰でもよく話せる彼を皆尊敬しているみたいです。神威さんは違うみたいですが。あの方は異常中の異常ですね。異常すぎてもう異常です異常異常。でもどこか異常に優しいんです。にこにこ笑顔がきゅーちくるで異常で好きです。異常って言い過ぎてよくわかんないです異常。
もう神威さん私の頭のなかに入ってこないでくださいよ。頭がおかしくパーパーになりますよパーパーに。誰か助けてください。本気とかいてMAJIです。だーやまくんまだですかね。あれから1分も経ちましたよ。お金足りなくても貸してあげませんから。



「春菜ー、お金足りなかった。貸してくれないかな」






「5倍にして返すよ」


彼はいそいそとレジへ行きました。
私は鞄に財布をしまいます。落としたらえらいこっちゃですからね。



「いやぁありがとね。明日返すから」

「絶対ですからね。私、忘れませんから」

「わかってるわかってる」


外は少しだけ寒くなっていました。まだお日様は顔を覗かせていますが、そろそろ寝床につくお時間のようです。
兄と弟がとてつもなく心配性でうざいので、そろそろ帰りましょうか。中学の時に少し帰る時間が遅くなった日があり、彼らは両親より怒ったんですよ。普段は仲が悪いはずですが、そのときはやれなにしてただやれ不良だって。私、頭は悪いですが不良とは心外です。そのときはあまりにも怒られて、私は情けなくも泣いてしまいました。彼らは土下座しました。ちなみに、そのときの時刻は午後5時半です。


「だーやまくん、私そろそろ帰りますよ。遅いと怒られてしまうので」

「そうか、今日はありがとう。すまないね、なにもできなくて。代わりに送るよ」

「いいいんです。私、今頭がCongratulationsしているので整理してから相談します。お送りもいいですよう」

「今すごい発音よかったね。変なとこすごいよね。意味は全く違うけど。送っていかないと三つ編みの先輩に殺されてしまうよ」

「私ここから家近いので大丈夫です。それに、少し気持ちを落ち着かせたいですから」


彼は少しばつが悪そうな顔をすると、気を付けて帰るんだよと言いました。だーやまくんはなにも悪くないので泣きそうにしないでください。男の子じゃないですか。男の子ですよね。そんな中性的な顔立ちしてたら女の子にも少し見えますね。でも男の子なんでせう。私の方が泣きそうです。本気とかいてMAZI。


「それでは、また明日」

「何かあったら神威って叫ぶんだよ」

「嫌ですよう。あの人のことはもう思い出したくないです」


だーやまくんは少し笑って行きました。笑い事じゃないですよ。もう。同姓の友達がほしいです。無理なお願いするとむなしくなりますね。トホホ。

ここから私の家までは歩いても約10分でつくほど近いんです。帰路につき、他のことを考えようとしてもさっきの光景が思い浮かんでしまいます。初めてのことだし、私には刺激が強すぎますよ。あんなことされたらもうお嫁にいけないですどうしてくれるのですか三つ編みの人。ひどいです、ひどすぎます。からかうにもほどがありますよあの馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。趣味の悪い学生服着て。あれはファッションですか。私が流行に乗り遅れてるのですか。なんですかあの背中の文字。何てかいてあるかわからないです。私は大和の国に生まれましたが、漢字が苦手なのです。もうこれダメですよ日本人としてヤバイんです私。異邦人の方の方が私より漢字わかってるんじゃないかってレベルですよもうなに話してるかわかんないです。はやく帰りましょう。




家までもうすぐなときでした。

「……なにかしら」

少し寒気がします。ちくちく。なんだか視線を感じるような。
嫌な感じです。周りを見渡しても、アパートや一軒家がずらずらと建っているだけです。たまににゃんことすれ違いますが、誰もいません。にゃんこかわいい。
やっぱり送ってもらえばよかったですかね。
よく鈍いだのろまだと言われますが、全然そうじゃないじゃないですか。私鋭いですよ。にゃんこかわいい。



「あれ、めいだ。おかえり」

「……翼」

「そうだよお兄ちゃんだよ」



兄の翼が後ろから声をかけてきました。手には買い物袋がずっしりとしています。晩御飯の材料でしょうか。作るの私ですが。というか、今日も泊まる気ですか。ムカついた私は翼に膝かっくんをして走りました。なにやら叫んでいますが、そんなことは知りません。当たり前のように泊まりやがって。晩御飯は手を抜いてやりましょう。


私はどこからかもわからない視線を振りきるように走りました。




家のドアの前でもちくちくとしていました。














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