ただただ愛しくて。
17/25
「確かか春雨だったな…」
俺は全力で走り、わずかな時間で目的地に着いた。
ここには喧嘩関係で幾度も訪れているから、見慣れたやつも多い。
近くにいるやつに適当に聞き出すか。
「ねぇ、めい知らない?」
「お…お前は夜兎高の」
「どこにいるの」
「誰が言うかよ」
「で、どこ」
「たっ多分アジト…」
俺は彼女のもとへ走り続ける。
そのときは、ひとつのことで頭がいっぱいいっぱいだった。
胸は何故か弾けてしまいそうだ。
それでも俺は走る。
このとき、いつもは素直になれない俺の体と心が一致していた。
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