わかんないの
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普段ふわふわと浮いているようなのに、逃げるとどうもジェット機になるらしい。
面倒な女だ。
でも、俺に逃げられるものなんて、この世にないんだ。
「やっと捕まえたー」
「ひえええお助けをー」
「お前には友達がいないんだろう。だから助けてくれるやつなんているはずがない」
「――――死んでやるウゥゥゥ!!」
「死なせないよ。俺が生きている限り」
「かっこよさそうなのに恐怖しか湧いてきません」
めいを捕まえた俺は、もう逃げられないようにと、世で言うお姫様抱っこをした。
彼女は軽過ぎもせず、重過ぎもしない。
顔が赤くて可愛らしい。
―――俺が女に対してこんなことを思うのは初めてかもしれない。
でも、俺は認めない。
俺は、今の俺を認めない。
しかし、そんなことを言い聞かせても、俺の本能は言う事を聞かないようだ。
死なせはしないってなんだよ。
こんなやつがこの世から消えたって、俺はなんとも思わない。
だが、俺は命をかけてこいつを守るのだろう。
素直になれない。何がしたいのだろうか、俺は。
情けない。
これは、少しだけ気になっていた。
「あの、」
「ねーめい」
同時に喋ったが、彼女は俺を優先させてくれた。
「何ですか」
「めいってさ、彼氏とかいるの」
おれは、どんな顔をしていったのだろう。
いつもどうりだったのだろうか。
彼女は少しだけ考えて、俺に言った。
「そんな大層なものいませんよ。私にそんなのいたら今すぐビックバンが起こります」
ビックバンが起こるくらいなのだから、きっと今までに男と付き合ったことがないのだとわかった。
次の言葉は、俺の本能が出てきてしまったんだ。
「じゃあ、俺がビックバンが起こるくらいの大層なものになってやるよ」
何なんだ。
なんでこんなことを言うんだ。
何がしたいんだ。
何を言いたいんだ。
誰か、俺に教えろよ。
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