五条がいっぱいコレクション
5
「は〜いじゃあ最後の新入生、禪院芥くんで〜すッ! 拍手〜!」

 テンションの高い五条悟と裏腹に教室内から拍手が返ることはなかった。うーん見えなくても分かるぞ、すげぇ冷めた空気だ! 余談だが包帯ぐるぐる巻きは五条悟と被っちゃうので入学に際しアイマスクにリニューアルしている。やはり年頃の男の子的にアイテム被りはNGなので。

 さっくり他の三人を紹介した五条悟にうんうんと頷く。
 パンダに狗巻棘くんに禪院真希ちゃんね、覚えた。っていうか真希ちゃん親戚じゃぁん? マジかよ初めて存在知ったわウケる。

「禪院のぶっ壊れ野郎……」
「ぉあ? 俺のこと?」
「他に誰がいるんだよ」

 吐き捨てるように言う真希ちゃんにこてりと首を傾げる。俺かぁ? ちょっと脳みそ二三回壊されたあたりでイカれちゃっただけの善良な男の子なのに?? まっこと遺憾の意。

「禪院出た私の監視か? ご苦労なことだな」

 ああなるほど。当たりがキツイと思ったらそういう事情があったのね。俺ってば長らく目も見えてないし任務続きで人間らしい生活できてないから禪院の内事情もよく分からんのよね。なんなら禪院のぶっ壊れ野郎という不名誉なあだ名も今初めて知ったで候。

 とはいえ真希ちゃんも俺の事情には詳しくないのだろう。でなければ監視という言葉は出てこない。

「安心しなお嬢ちゃん、監視は無理だぜぃ。目ぇ見えないからさ!」
「、は?」
「だぁかぁらぁ、俺目が見えねぇの!」

 アイマスクを引っぺがしほらと見せつける。前に触ったところぼこぼこと皮膚の盛り上がった感触があったので恐らくはぱっと見で分かる負傷の筈だ。

「ゴトウシュサマがくれた毒を飲んだ後日本刀ぶっ刺されたら治り悪くてこの様さぁ! だから安心していいよ! 俺何も見えない!」

 ねっと笑うも返事はない。なんでさ。そこは「あ〜よかった」って喜ぶところでしょうに。

「……悪ぃ」

 代わりに聞こえたのは謝罪の言葉で、不可解さに唇をむいと突き出す。

「?? え、なんで???」
「うるせぇ! 黙って謝られとけ!」
「しゃけしゃけ!」

 意味が分からない。




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