補習2




ようやく補習の教室につく。ふと時計を見ると10分オーバーしている。ああ、ただでさえ厳しいという評判の補習‥遅刻なんてどんな雷が下るのだろう。私は勇気を持って扉を開けた。


ガラガラガラ―


「遅れてすみませんでした!」
「ナマエちゃん!やっと来たのか。」
「あ、シゲル!もー頑張って走ってきたんだけど‥。!?」


何故?教室の中はシゲルしか居ない。確かリストには後3、4人位居たはずだ。もう10分過ぎてますよー、やっぱり補習ってヤンキーの集まり!?


「あの‥他のみんなは?」
「ああ、さっきまで居たんだけどね、あれを見たら帰って行ったよ。」


そう言うシゲルの目線の先を見ると、黒板に緊急職員会議のため今回の補習は自習と書いてあった。


「へー‥。シゲル残ってるなんて偉いじゃん。」
「ま、ナマエちゃんと二人きりになれるチャンスだと思ったからね。逃すわけないだろ?」
「もーシゲルったら!今はサトシ居ないんだから!」
「‥?ああ、サトシが補習じゃないのは正直驚いたよ。」
「ま、サトシは頑張り屋さんだからね!そこがいいとこだよねー。」


普段の頑張っているサトシが自然と思い出されると、自然と笑みがこぼれる。そんな私をシゲルはいきなり黙って見てきた。ちょっと怖い。


「はい、これ今回の課題。」
「あ、ありがと!」


課題をパラパラとめくってみる。わ‥それなりの量だ。しかも一番最初から分かんないよ。寝てたから当たり前か。もー先生居ないと補習の意味ないじゃんか!
フっと笑い声が聞こえたのでシゲルを見ると、馬鹿にしたような顔で私を見ている。うームカつく!


「もしかして‥分からないのかい?」
「何よ!そうゆうシゲルはどうなの!?」
「ボク?ボクならとっくに終ってるよ。」
「じゃぁ何でいるのよー!」
「だから君と二人きりに「それはもーいい!」
「ナマエちゃんったら、照れ屋さんだなあ。」
「照れてない!バカ!シゲルのバーカ!」
「馬鹿は聞き捨てられないなぁ、仕方ないから教えてあげようかと思っていたのに。」
「いいですよーだ!」


私は再び課題に目を移す。‥‥やっぱり、全く分からない。はあ、もうこうするしか手段はないのか‥。


「‥しえて‥下さい。」
「ん?何?聞こえなかったなぁ。」
「‥!教えて下さい!!」
「ははっ、素直でいい子だね、ナマエちゃんは。」


シゲルは私の向かい合わせに椅子を移動し、課題の説明を始めた。
もの凄く顔が近い、シゲルは昔から大人っぽい顔だったけど、旅を出た日に比べると更に大人っぽくなった。だいたい久しぶりなのだ、こんなに顔が近くにあるのも、二人っきりで話す事さえも。シゲルは常に女の子の取り巻きがいるから近寄れない。それもそうか、こんなにイケメンなんだものね。


「さっきからジロジロ、君、ボクの話聞いてるかい?」
「‥!き、聞いてる!」
「‥じゃぁ、今ボク何て言った?」
「え、えっと‥‥!」
「ボクの顔に見とれるのも分かるけど、聞いてくれなきゃ困るな。せっかく人が教えてくれてるのに聞かないなんて、ナマエちゃんにはお仕置きが必要かな?」
「ち、違っ!シゲルのナルシスト!変態!」
「変態だって?おかしいなぁ、ボク、そうゆう性的な意味でお仕置きなんて言ったつもりはないんだが。君はそうして欲しいのかい?」
「‥っ!シゲルの、バカ!」
「そうやってすぐ顔真っ赤にするとこ、昔から変わってないなあ。」
「シゲルだって、上から目線で、ナルシストなとこ全然変わってないんだから!」


私がそう言った途端、シゲルの顔つきが真剣なものに変わった。


「それもそうかもしれない、けど‥もう一つ大事な事、忘れてないかい?」
「‥?どーせカッコイイとこーとか言わせたいんでしょ!」
「はあ、もういいよ。」
「え?」
「君にはもうしばらく教えるつもりはないさ。」
「何よ。気になるじゃないー!」
「そんな事より君は勉強が先だ。」
「気になって勉強に集中出来ないー!」


それからもしばらく討論は続いたが、シゲルに上手くいいくるめられて課題をする事になる。理解力が無い私だったが、シゲルは最後まで一つも嫌な顔をせず教えてくれた。




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