補習1



ようやく長い授業が終わって帰りのHR。私達A組の担任の先生は、あのオーキド博士だ。


「諸君、今日もお疲れ様じゃな!今日は危ない生徒は補習じゃぞ!補習者リストを黒板に貼っとくから、危ないと思う生徒は直ちに確認するんじゃぞ!じゃ、解散!」


オーキド博士、一瞬こっちを見たような‥気のせいだよね、気のせい。そして、隣の席のカスミの視線も感じるような。私はちらっと隣を見ると見事にカスミと目が合った。気のせいじゃなかった。


「ナマエ、絶対危ないわよ!いつも寝てばっかであたしが起こしても起きないんだからぁっ!見に行きなさい!」
「うう‥カスミ、そんなズバッと言わなくても‥。でも、まさかねぇ。」


タマムシスクールの補習はとても厳しいという噂だ。しかも、毎年補修者は指で数えられる位しかいないらしい。
だから、きっと大丈夫!‥だよね。お願いします、お願いします‥。願いながら黒板に向かいリストを見る。やはり私の名前はあった。ガックリと肩が落ちる。


「ナマエ…補修だったのか?」


俯いていた顔を上げると心配そうな顔をしたサトシがいた。


「うん‥でも居眠りばっかしてた私がいけないのよね。どれだけ厳しいのかな?あー信じたくないー!」
「これから居眠りしないように頑張ればいいだろ?元気だせよ!」


ふとサトシの腕が伸びてきて私の頭をガシガシっと撫でた。これは私を慰める時のサトシの昔からの癖だ。この歳になるとちょっと照れるんだけどな。きっと私のほっぺは真っ赤だろう。自然と目が合ってしまうとサトシもみるみる顔を赤く染めた。


「二人とも、僕にも見せてもらえない?」
「「わっ!」」
「‥‥?(なんだ二人して真っ赤な顔して‥。)」
「あ、あーごめんごめんケンジ!」
「てゆうかケンジは補習リストなんて見る必要ないでしょー!」
「いやぁ、ちょっとシゲルが補習じゃないか気になってね!」
「え!?あのシゲルが?考えられない‥!」
「それがどうだか‥ほら、やっぱりそうだ!」


信じられなくて私もサトシもリストにくぎづけになる。すると確かにそこにはオーキド・シゲルと書かれていた。


「嘘だろ‥絶対何かの間違えだぜ!」
「実は、シゲルは最近研究三昧で体調を崩して学校を長期間休んでいたんだ。」
「へーシゲルも結構頑張ってるんだあ。」
「うん!でも補習なんて滅多に出来るもんじゃないのに、気の毒だなぁ。だいたい補習者なんて「ちょ、ケンジ!そこら辺にしとけよ‥!」
「え?」「‥‥‥‥‥‥‥私、どうせ補習者ですよ‥‥‥。」
「えっ!?ごめっ、そうだとは知らず‥!」


いじける私に必死で謝るケンジ。ケンジも同じA組でオーキド博士の助手であり、シゲルとは同じ屋根の下で暮らしている。


「待てよ?シゲルと一緒なんて…ナマエが何されるか分からないぜ!オレも補習でる!」
「えーっ!大丈夫!大丈夫だよ!」


私は全力で首を振る。
ライバルであるサトシがいるからシゲルは私に近寄ってくるわけだからサトシが居る方がまずいでしょ!


「でもサトシ、紙に対象者以外は入室禁止。直ちに下校せよ。って書いてあるぞ?」
「そんなあ!」
「サトシ、私大丈夫だから。ありがとねっ!」


私は笑顔を向けるとサトシはいきなり寂しそうな顔になった。


「何かあったらすぐ電話しろよ?お前に何かあったら、オレ‥。」
「もう、サトシったらいつもいつも心配しすぎ!私は大丈夫だからね。そろそろ行かなきゃ!みんなまた明日ねっ!」
「おう‥じゃあな!」
「頑張れよー!」















手を振りながら廊下に走りさって行く彼女は、オレの幼なじみ。そして‥。


「ってサトシ!お前はナマエの彼氏かよっ!」
「え、えぇっ!?ただの、幼なじみだよ‥。」
「なになーに強がっちゃって!顔真っ赤じゃなーい。ほんとは好きなんでしょ?ナマエの事っ!」
「カスミ!いつからそこに居たんだよ!?」
「んーと、サトシがナマエの頭を撫でてる当たりかしら〜?」
「っお前‥!」
「スッゴくいい雰囲気だったのに、ケンジに邪魔されちゃったわよねー。」
「え!?ごめん!ふうん、そうゆう事なんだぁ。」
「だから、違うって‥!」
「うん、今後のサトシの動き、観察させてもらいます!」
「それいいかも!」
「や、やめろって!良くなーい!」


それから帰るまでも、ずっとオレはからかわれ続けた。分かってる。みんなに言われるようにオレはアイツの事が‥



きっと好きなんだ。昔から。





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