総合コース




次の日。教室の扉を開いた途端、サトシが飛んできた。


「ナマエっ!昨日大丈夫だったか?何もされてないか?」
「もう〜何もされてないってば!むしろ課題を最後まで手伝ってくれて助かったよ。」
「えっ‥、そうなのか‥なら、良かったよ。」

サトシはなんだかぎこちない笑顔を向けてきた。

「うっ、うん!‥‥あ!」


噂をすれば、廊下をシゲルが通るのが見える。


「シゲル!おはよう!」

私は笑顔で挨拶をすると、サトシもシゲルも少し驚いたような顔をした。


「おはようナマエちゃん。ナマエちゃんから声をかけてくれるなんて、珍しいね。」
「あっ!そういえばそうかもね。昨日はありがとね。シゲルのおかげで赤点とらなくてすみそうだよー。」
「お礼なんていらないよ。ボクはナマエちゃんの為なら何でもするからね。」


シゲルはニッコリ微笑むと、横目でサトシを見ては口角を上げた。

「‥おや?サァートシ君じゃないか、どうした?そんな険しい顔をして。」
「べ、別に険しい顔なんてしてないよ!」
「あぁ、そうかい。ならいいんだが。ナマエちゃん、昨日は楽しかったよねえ?」


わざとらしく私に問い掛けるシゲルに、私も返事に困る。とにかく笑ってごまかそう。てゆうか今ってシゲルが勘違いしてる事を言うチャンスじゃない!?


ピーンポーンパーンポーン―


私が口を開きかけた瞬間、チャイムが鳴ってしまった。まあ、また言う機会はあるよね。


「シゲルくーん!次は選択授業よ!私も研究クラスだから一緒に行きましょ!」
「あ、ああ。」
「駄目!シゲルくんはあたしと行くの!」
「いいえ、私よ!」


シゲルは女の子達に押されながら去っていく。シゲル目当てで研究クラスを選んだ子も多いんだろうな。


「今日は選択授業か!ピカチュウ達にも会えるし、何だか燃えて来たぜ!」
「サトシはバトルクラスだもんね!私は総合コースだからそのうちお邪魔するね!」
「おう!絶対来いよ?じゃぁまたなー!」


サトシは走り去っていった。もうすぐピカチュウ達に会えると知ったサトシの顔はいつもの倍は輝いていた。私も早く行かなきゃ!
私の友達はみんな目指すものが決まっていてそれぞれの専門コースだから、いろんなコースを体験出来る総合コースの私は一人ぼっちだ。友達出来るといいなぁ。















次の授業へと廊下を歩く。俺達は一体何をしているんだろう。この三ヶ月間。


「あー!なーんでアタシ達はこんなとこにいるのよ!」
「ムサシがピカチュウゲットの為に入学しようっていったんだろー?」


そう。ジャリボーイ達がタマムシスクールに入ったもんだから、パパンとママンに勉強がしたいなんて言って入学金を出して貰った。


「で、入学したらポケモンは授業で使う時以外厳重な保管庫の中って落ちニャ‥。」


そうゆう事だ。俺達は三人してガックリ方を落とす。


「ってニャース!よくそんな変装でバレないわねぇ。」
「ニャースって呼ぶなニャ!ネコオって呼ぶのニャ!」
「今時そんな名前あるのかぁ?」
「あーもう!そんな事より早くここを抜け出しましょうよ!」
「無理だよ、入学したからには一年間通い続けなきゃ入学金が無駄になるだろう?」
「コジロウ!あんたお坊ちゃまの癖になにケチケチした事言ってんのよ!」
「パパンとママンが一生懸命働いてくれたお金だ!無駄には出来ない!」
「それに、ちょっとここで勉強すればジャリボーイ達に勝てるかもしれないニャ!」
「‥それもそうね、だいたい総合コースって何なのよ!女優コース〜とか悪役コース〜とかはないわけぇ!?」
「‥ある訳ないだろう?」
「あーもうつまんないわねぇ!学校生活と言えば恋!年下ばっかりじゃない!誰かアタシを一目で仕留めるイイ男はいないのー!!」


恋かぁ。チリーンに一目惚れした以来しばらくしてないないっけ。


「きゃっ!」


ふと悲鳴が聞こえたので声の元を見ると、女の子が参考書などを落としていた。俺は自然と駆け寄り拾うのを手伝う。


「あ、ありがとうございます!!」


顔を真っ赤にしてそう言う女の子と目が合った瞬間、俺の中の何かが弾けた。なんだ、このほわほわ、ふわ〜っとした感じ。チリーンの時と同じ、いや、何か少し違うかもしれない。これは、一目惚れってやつなのか!?


「あ、お、俺コジロウっていいます!君の名前は?」
「私‥はナマエっていいます。コジロウさん、総合コースですか?」
「そうだよ。ナマエちゃん、君も?」
「はい!私、総合コースに友達が居なくて‥コジロウさんとお友達になれて嬉しいです。」


ニッコリと笑顔を向ける彼女。何て可愛いんだ、癒される!!






物陰にて―
「ニャース!見なさいよコジロウのあの顔!間違えないわね!」
「ニャースじゃなくてネコオだニャ!まぁ、なかなか可愛い子だニャ!」
「ま、アタシには敵わないけどねー!他にする事もないし、人肌脱ぐわよ、ニャース!」
「ネコオだニャ!ちょっと待つニャー!」















「はぁーい!私はムサシって言いまーす!」
「ミャーはニャー‥ネコオだニャ!」
「ムサシ!ニャー、ネコオ!」


ムサシとニャースがいきなり現れて、ナマエちゃんは目を丸くしている。


「私、ナマエっていいます!」
「ナマエちゃんねぇー!アタシ達、とっても良い友達になれそうじゃなぁ〜い?」
「は、はいぃ!」
「ムサシ!脅してるようにしか見えないニャ!」
「あら、そう?」
「ふふっ、これからよろしくお願いしますね!」


コイツら‥絶対何か企んでるだろ!

それから総合コースの説明を聞いて授業は終わった。ナマエちゃんの真剣な顔も素敵で、あまり耳に入ってなかったけどね。



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