ヤドンの井戸


朝がきた。よし!今日はジム戦だ。支度を済ませて、出発進行〜!
ポケセンを出る。何だか町の人達の様子が暗いというか、あまり良くないかも‥。昨日はダッシュでポケセンに駆け込んだから気付かなかったな。
ヤドンが何とかシッポが何とかそんな声を聞きながらジムの前に到着。しかし昨日のロケット団と同じ衣装を着てる人がジムの入口を塞いでいた。うわ、もうロケット団とは関わりたくないよ。あの人どくまで暇潰しすればいいんだ。そうだそうだ。確かこの町にはガンテツさんっていうボール職人が居るんだっけ。ぼんぐりも集まったしその人の家に行こう、そうしよう。
そしてガンテツさん家到着。


「あのーこんにちは。ボール作って頂けませんか?」
「ん?悪いが今はそれどころじゃないんだ。お前さん、ロケット団って知ってるか?いや、知らなくてもええ話を進めるぞ。ロケット団いうのはポケモンを無理矢理悪さに使うろくでもない連中や。3年前に解散したはずなんやが‥。」


いやぁぁあ!ここでもロケット団の話ですか。聞きたくないです。さあ、もう出よう、そうしよう。


「そうなんですかぁ〜、じゃ、また「とにかくそいつらが井戸でヤドンのシッポを切っては売りさばいとるんや!だからわしが行ってちと懲らしめたるんや!よーし待ってろヤドン!男ガンテツが助けるぞ!」


‥こっちが出る前にガンテツさん出ていっちゃったよ!って‥ヤドンのシッポを切って売りさばいてるだって!?なんてグロテスクな。ヤドン達が可哀相だ。私はそんな目に合ってるヤドン達を見捨てて逃げていたんだ。最低だ。何かあの井戸で悪い事が起きているのは何となく分かっていたのに。


「‥よし!待っててヤドン!女ナマエが助けるぞ!」


私はダッシュでヤドンの井戸に向かった。


ヤドンの井戸前到着。昨日の井戸を塞いでいたロケット団は居ない。ラッキーだ。井戸を下りるとガンテツさんが座り込んでいた。


「ガンテツさん!」
「おお、さっきのお嬢さんか。上で見張ってた奴は大声で叱り飛ばしたら逃げよったがな‥。」
「はい、ナマエです。それよりどうしてこんなとこに座り込んでるんですか!?」
「わしは井戸から落ちてもて腰を打って動けんのじゃ。くそう‥元気ならわしのポケモンがちょちょいと懲らしめたのに‥。まぁええナマエ!わしの変わりにトレーナー魂を見せるのじゃ!」
「はい!そのつもりで来ました!か、必ず懲らしめて戻って来ますので待ってて下さい!」


私は井戸の入口を潜る。カッコつけて必ず懲らしめるとか言っちゃったけど‥やっぱり怖いし、私なんかがロケット団という組織を懲らしめるなんて明らかに無理でしょ。いや、だからといって後戻りなんて出来ないし‥進むしかない。頑張れ私。
足を震わせながら進む。この井戸に出てくる野生ポケモンはヤドンやズバット。先頭はメリープに決まり!奥に進んで行くと2人ロケット団員が勝負を仕掛けてきた。最初は怖かったが思ったよりも楽に倒せた。何だ。ロケット団ってこんなもんなんだ‥!
3人目のロケット団を倒すと、何だかその先にちょっと他の団員とは違った衣装をした男性が。ん?もしかしてボス!?駄目だ、やっぱり私はここで限界だ。でも行かなきゃヤドン達は‥!


「さっきからジロジロ‥何ですか?」


ひっ!行く前に見付かったよ。もう攻めるしか道はないのね!


「あ、あなたを懲らしめに来ました!ヤドン達のシッポを切って売るなんて許せない!」
「ふっ、私はロケット団で最も冷酷と呼ばれた男ランスですよ‥?」
「最も、冷酷‥?そんなの、怖く、ないんだから!」
「‥‥‥強がっちゃって、可愛いお嬢さんですね。だがしかし、私達の仕事のジャマなどさせはしませんよ!いきなさい、ズバット。」
『ズバッ!』
「っ!メリープ!でんきショック!」
『メェー!!』


ズバット戦闘不能。


「えっ?一撃必殺だと?‥もしかして本気でジャマしに来たんですか?‥ドガース、出番です。」
『ド、ガース!』
「もちろん!メリープもう一息頑張って!」
『メエ!』


結果、一撃ではなかったがメリープが勝利した。


「くっまだ子供だと侮っていたらこんなことに‥。しかしその強さ、あなたはロケット団に相応しい。そして、私にも。」
「えぇっ!?私はロケット団なんて入りません!しかも私にもってどうゆう意味ですか!?」
「フッ、‥‥‥‥分からないのですか。では、教えてあげましょう。」
「‥‥‥?」


ランスさんはゆっくりと私に近づいてくる。それに合わせて私も後退りをするが、とうとう行き止まりに来てしまった。ランスさんは壁に手を付き、含んだ目で私を見下げてくる。こ、怖い‥!でも、逃げられない!すると顔がどんどん近づいてきて、私の顔の右横で止まった。


「‥今すぐあなたも、私しか見れないようにして差し上げますからね‥?」
「ふぇ‥っ!」


耳元で喋るものだからつい変な声が出て、私は顔が真っ赤になってしまった。はあ、ロケット団相手に顔を赤らめるなんて私最悪だ。恐怖と罪悪感が混ざり合って涙が溢れてくる。


「その声も顔も‥そそります。」
「っ!」


声が、出ないよ。ランスさんは私の太股をさすって来た。くすぐったい、気持ち悪い。


「や、やだ‥!」


私の振り絞って出した声もあっけなく無視され、手は動き続ける。この人、一体何をする気なの!?周りのロケット団、黙ってこっち見てないで助けてよ!怖い、助けて‥ママ、コトネちゃん、ヒビキくん!


「お前っ!ナマエちゃんに触るなよ!」


何かと思えばヒビキくんが凄い勢いで走ってきて、ランスさんを突き飛ばし私を抱き寄せた。


「ヒビキくん‥!」
「ごめん、僕がもっと早く着いていれば!」


来てくれただけで十分だよ、私は泣きながらヒビキくんに抱き着いた。


「おや?あなたはナマエさんというのですか。ボーイフレンドが居たとはね。」
「名前も呼ぶな!お前、僕と勝負しろ!」
「フッ、あいにく私の道具達はそこにいるナマエさんに全滅させられたばかりです。‥だからナマエさん、あなたなら私と一緒になればサカキ様のすぐ下で働く事が出来る。そして私と二人で幸せに暮らす事が出来るんだ。私は君を必ず幸せにするよ。」
「黙れ!ナマエちゃんは僕が幸せにする!」
「っ!ヒビキくん‥。‥ランスさん、私はポケモンを悪さに使って生きて行くなんて、いくらお金があっても幸せにはなれません!あなたも目を覚まして!」
「‥‥ッ!この私がこんなお子さまに負けるなんて。」


ランスさんはヒビキくんを見下すようにに見た。


「だいたいお前ら、解散したんじゃなかったのか!?」
「‥確かに我等ロケット団は3年前に解散しました。しかしこうして地下に潜り活動を続けていたのです。あなたごときがジャマしても私達の活動は止められやしないのですよ!これから何が起きるかビクビクして待っていなさい!」


ランスさん、そしてロケット団員達は井戸を出ていった。同時にガンテツさんが腰の調子が良くなったみたいで入ってきた。そして、明日ガンテツさんの家に行く事を約束して、ガンテツさんは自宅に、私達はポケセンに向かった。



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