再会 -I want to talk to you-
再会E
-I want to talk to you-
「キラ。私、先に帰るな」
慌てていたアスランを現実に戻したのはカガリの声だった。
・・・え?
「えっ。あっうん」
キラは不思議そうに聞いた。
「じゃあ、アスランさん。ラクス。またな」
カガリは静かに席を立った。
「あっ待って。送ってく!」
ガタン。
椅子から俺は慌てて立ち上がった。
体が勝手に動いていた。
「えっ」
カガリは驚いて目を見開いた。
突然だったから当たり前だ。
けれどまだカガリと一緒にいたいから。
好きだって伝えたいから。
「キラの家なら知ってるから」
わけのわからない理由を並べながら彼女に納得を得ようとした。
自分でも吃驚するぐらい必死だった。
「えっけど・・・」
カガリは混乱していた。
「アスラン。まだ3時だよ?」
キラがだから送りはいらないんじゃない?という風に俺の方を見てきた。
確かに外もまだ明るい。
普通は送りなんかいらない。
けれど俺が考えている目的はそういうのじゃなくて、
二人になりたいと言う少し邪な思いだった。
「・・・?」
なにか理由を考えようと頭をフル回転させた。
不思議そうに自分を見ているカガリに小声で、
「・・・正直、キラとラクスの二人の邪魔したくないから」
と言った。
ベタだけど、べたべただけど。
ある意味真実だ。
カップルの二人といるのは嫌だ。
特にこのバカップルと表される二人は特に。
「だから、送ってく」
駄目押しとばかりにそう言って、
手をカガリに差し出された。
カガリは少し迷った後、ギュって手を握ってくれた。
「・・・////」
気のせいかもしれないが、カガリの顔が少し赤くなった気がした。
かわいい・・。
「行こう」
「はい////」
今、俺は生きてきた中で一番緊張していると思う。
だって、好きな女の子と手を繋いで、
しかも二人っきりだ。
これで緊張しない人がいたら会ってみたいぐらいだ。
「カガリって呼んでいい?」
なにか、言わなければと話題を探す。
さっき実は気になっていたことを聞いてみた。
「えっはい。もちろん」
笑顔でカガリは答えてくれた。
かわいい・・・。
その笑顔に若干めまいを起こしながら自分の願望を言った。
「・・・よかったら俺のこともアスランって呼んで欲しい」
さっきから考えていた。
名前でよんで欲しいなって。
「えっ////」
「・・・人を初めて好きになったんだ」
驚くカガリを横目にアスランは言葉を続けた。
今、まわりに幸い人はいない。
言うのなら今しかない、アスランは覚悟を決めた。
「ほんと馬鹿みたいに一目惚れで、
しかも全く接点のない子だったんだけど。
電車で会えるのが毎日楽しみで・・・」
「・・・」
朝、毎日見かけた彼女。
なんだか目が奪われた。
日に日に彼女を考える時間が増えてきた。
恋だって自覚した。
「けど、秋ぐらいから見かけなくなった」
そして、ますます好きになっていた。
次にあったら必ず想いを伝えようと思った。
好きだって。
「・・・・それって」
そう。
「君のことだよ。カガリ」
「・・・・・・!!!!」
カガリは目を大きく見開いた。
アスランは息を大きく吸って、自分を落ち着かせた。
「初めて君を見かけたときから、ずっと気になってた」
「・・・・・!!」
「君のことが好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
言った。言えた。
アスランは満足感で一杯だった。
緊張する。
彼女はなにも喋ってくれない。返事が欲しい。「夢?」
小さな声で紡がれたカガリの声。
カガリは自分の頬を抓った。
「夢じゃないよ。夢で終わらせないで」
必死で言った言葉だ。
夢なんかで終わらせないで欲しい。
「・・・・・・」
「――――あ・・・あれ?」
ポタッ。
ギョッてした。
カガリの頬に流れるものがあった。
泣いてる!?
「!なんで泣いて・・・嫌だった?」
やっぱり、突然今日会ったばかりの奴にこんなこと言われても困るだけだろう。
「ちっ違う!そうじゃなくて」
カガリは大きく深呼吸をした。
「私もあなたのことが好きです」
夢のような言葉だった。
頬を真っ赤に染めながらカガリは言った。
俺のことを好きだって。
嬉しくて泣きそうだ。
「・・・ありがとう////」
本当にすごく嬉しい。
「・・・・アスランさん。可愛い」
えっ?
アスランは目をまんまるにした。
男に可愛いなんて全然嬉しくない。
むしろ傷つく。
「・・・嬉しくない。・・・それと名前で呼んで欲しい」
「アスラン」
嬉しい。
今まで生きてきた人生で一番幸せなんじゃないかと思った。
「カガリ」
くすくすと笑う彼女をそっと抱きしめた。
「好きだ」
もう一度言葉にした。
カガリは俺の腕の中でじっとしていてくれた。
それが妙に実感を誘って。
嬉しかった。
ふと、カガリと目が合った。そっとアスランは目を閉じカガリに顔を近づけた。
柔らかな感触がそこにはあった。
カガリの唇だ。
唇が触れた。
・・・・キス。
「・・・・」
唇をそっとはなした。
「・・ぁ・」
「//////」
カガリの口から声が漏れる。
可愛い。
「あす・・らぁ・・ん」
カガリは舌足らずでアスランの名前を呼んだ。
アスランは顔を赤く染めながら微笑んだ。
「これからよろしくな、カガリ///」
「はい」
カガリはアスランにぎゅっと抱きしめた。
アスランもカガリを抱きしめ直した。
人に思いを伝えるって凄い難しいことだけど。
今、伝えてよかったって心からそう思ってる。
その日俺とカガリは付き合うことになった。
とても嬉しくて、幸せな日だった。
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