初恋 -I'll take a chance-
初恋A
-I'll take a chance-
俺は初めて人を好きになった。
しかも一目惚れ。
自分でも凄く驚いている。
彼女を見かけたのは高校二年の春、
帰りの電車でたまたま同じ電車に乗り合わせたとき。
目の前を横切っていく彼女に目を奪われた。
彼女の横顔がスローモーションみたいに流れ、目に焼きついた。
その日から彼女のことばかり考えている自分がいた。
朝、電車に乗ると必ず彼女を探している俺がいた。
彼女の制服から隣の高校の学生だということは分かっていた。
けど、それだけ、俺は彼女の名前さえも知らない。
それに一方的なんだという虚しさ苛立ちを覚えていた。
それでも朝、電車で彼女を見かけるとすごく嬉しくて、幸せを感じる日々を送っていた。
けれど最近、彼女を見かけなくなった。
丁度今年の秋辺りから・・。
だけど俺はどうすることも出来なかった。
だって、名前さえも知らないのだから。
・・・けれど、もし、彼女に会うことが出来たら、必ず言おう。
「君の事が好きです。付き合ってください」
って、
・・・いやその前に自己紹介と相手の名前を教え貰おう。
相手に驚かれるかも知れない、ナンパだと思われるかもしれない。
それでも、
彼女の名前を呼んで、好きって気持ちを伝えよう。
行動しないとなにも始まらないから。
そして、もし
「いいよ」
って言ってくれたらそれはとてもとても幸福なことだと思うから。
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