あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ
パロディノベル



  心とは裏腹に 04


「あ〜、気持ちいい」


服を脱いで入った温泉は疲れた体を包み癒してくれた。
こんな課外授業で温泉とかラッキーだよな。
・・アイツが入れって言うから仕方なく入ってやってるんだ。
だから別にサボってるわけじゃ。
・・・。
上がったらありがとうって言おう。

温泉から上がって、服を着てアスランと合流した。

「ゆっくりできた?」
「はい。
・・・・あのっ」

私はお礼が言いたくて声を出した。
コイツのことは嫌いだけど、確かにこのサバイバルでは凄く頼りになるし助けてもらってるから。

「いっ!」

その瞬間足に激痛が走った。

「アスハさん?」
「・・・・・・・」
「どうかしましたか?」

そう言って覗きこむ顔が以前のアスランと被った。

『もしかして、アスハさん驚いたりなんかしてる?
まさかだよね、あの怖いもの知らずのアスハさんが・・』

アスランは私にそう言った。

『まさか、そんはずありませんわ。
ええだって、あのアスハさんですから』

そして私はこう答えた。

「・・・なんでもありません」

そうだ。さっき私何を考えてたんだろう。
アスランに弱みなんかみせられないんだ。

「・・・そう」

歩くたびに足は痛んだ。
きっと何かに刺されたか噛まれたんだ。
ちゃんとブーツ履いてるのに。
・・・・・あっ!
私はひとつのことに思い当たった。
そうだ温泉に入る前に確か足がチクッて痛んだ。
まさか、それ?けど今頃。そんな即効性じゃない毒を持ってる奴なんているのか?
けどたぶんそれしかない。
せめて、止まって治療したいけど。
前を歩くアスランの背中を見た。
アスランに馬鹿にされたくない。
カガリは痛む足をアスランにばれないように押さえた。
いつのまには日が暮れてきた。
アスランはカガリに向きかえった。

「今日はここで宿をとろう。
疲れただろう?」
「・・・はい」

歩きながら集めた蒔きに火をつけて、私たちは火を囲んだ。
保存食をお腹に入れて間が持たなくなったことに耐え切れないのかアスランは様子を見てくるとその場を離れた。
その隙にカガリはブーツを脱いでズボンを捲くりあげた。
足は赤く腫れていた。
自分で言うのも何だが痛そうだった。
・・よく頑張ったな私。
足は麻痺していて痛みはなかった。
ただ足が思うように動けない。
・・まずくないか?

「とりあえず傷口を綺麗な水で洗って消毒しないと」

そう思って足を引きずってリュックに手を伸ばした。

「何をしてるんだ?」

その動きを止めたのは視察から帰ったアスランの声。
アスランは視線をズボンが捲られている足に向かった。
赤く腫れあがっている足。
それはいくら暗くてもそれはよく見えた。

「あっ、なんでもない!」

カガリはズボンの裾を足先まで伸ばした。
その動きで全部を悟ったアスランは怒鳴った。

「馬鹿、カガリ!」

びくっ!

「・・ザラ・・くん」
「どうして何も言わない!
こんなになるまでなんで言わなかったんだ!!」

アスランはカガリに近づいてズボンを捲って酷く腫れた足を見た。

「・・ごめん」

カガリは項垂れた。
アスランはカガリから顔を背け、リュックの中から無線機と救急パックを取り出した。
救急パックと水をカガリに渡して、アスランは無線機に自分と私の生徒番号を告げた後、

「リタイヤします」

とそう告げた。
・・・・え?

「お願いします」

通話を終えたアスランは動かないカガリの変わりにテキパキと足の手当てをした。

「・・・どうして、」
「当然だ。これは実習だ。
こんなところで君を死なせるわけにいくか!!」
「・・だって、お前だって」

リタイヤなんかしたらこの実習は0点だ。
学年一優等生なのに。

「そんなのはどうでもいいんだよ!」

怒鳴るアスランが意味不明だった。

「・・・・ほら足全然痛くないし」
「・・・・」
「・・痛くなんかないからっ!!リタイヤなんかしなくていいから!!」
「出来ない」
「なんで!」
「いいから。迎えが来るまで寝てろ」
「イヤだっ、そんなの!
お前の足枷になんかなりたくない」

そう叫んでカガリは立ち上がった。

「カガリっ!!」

カガリは足を引きずりながら、ジャングルの中に消えて行った。

「・・・足枷になりたくないなら、
もっと俺のこと信用しろよな」

アスランは誰もいないところでポツリと呟いた。

見上げた星空はとても綺麗だった。



prev next

[back]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -