あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ
パロディノベル



  心とは裏腹に 02


そんな大切な時間が終わったのは突然だった。
戦争がやっと終わって、国が修復作業を始めた日に。
息子を亡くした親が、代わりの子供を探しに施設にやってきた。
・・・・アスランはその子供と目の色が同じだったから連れて行かれた。
けど、私は知らなかった。
私がいない間にアスランはいなくなった。
私はアスランがいなくなった次の日に施設の人に聞いた。
アスランは私を捨てたんだってそう思った。

再会は意外と早く訪れた。
14歳のとき私は軍人になろうと決意した。
15歳で入学した軍学校で、
同じ生徒としてその人と再会した。
そして、彼は私のことを「アスハさん」と呼んだ。
なんだか、よく分からなかった。
悲しいのか、怒りなのか、よく分からない感情が渦巻いた。
もう、昔みたいに「カガリ」って呼んでくれないんだ。
そう思うと胸が痛んだ。
私のことなんか覚えてないんだ、そう思って、私もにっこり笑って、
「ザラくん」と呼んだ。
アスランは表情一つ変えなかった。
アスランは誰にでも優しかった。
実技も頭もよくていつもトップに彼の名があった。
悔しかった。
いつも得意げに笑って全部、何もかもこなせる彼が嫌だった。
私は実技も頭もよくなかった。
そうすると、アスランは同情するような目つきで私を助けようとする。
それがまた癪に障った。
覚えてないなら優しくして欲しくなかった。
ほっといてくれればいいのに。
何度もそう思った。
・・・・馬鹿みたいだ。
昔みたいにアスランが私を見てくれないからって、
八つ当たりしてた。
そんなの自分でもわかってた。
けど、止められなかった。
だから、

「私のことなんかほっといたらいいだろう!
お前みたいな優等生に同情されるなんていい迷惑だ!」

って平気で酷いことを言った。
けど、アスランはそれでもにっこりと笑った。
その笑顔は私が好きな笑顔だった。

「君は、好きな人に似てるから、ほっとけないんだ」

・・・・・そんな顔で、そんな嬉しそうに言って欲しくなかった。
アスランには私が知らない時間があった。
そう考えると胸が痛んだ。
私のことを思い出して欲しかった。
私だって、アスランのこと好きだったのに。
アスランの記憶にも残っていない。
その真実に胸が痛んだ。

「そう」

私は小さく呟いた。

・・裏切られた。

昔の幼い約束は粉々に砕け散った。


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