あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ
パロディノベル



  心とは裏腹に 01


嫌いだった。
兎に角、大嫌いだった。
死んだって好きになってなんかやるもんか。
お前なんか大っ嫌いだ。

当時の私は彼にそう言った。
そうすると彼は一瞬顔を伏せるが、顔を上げて厭味を言うんだ。
そうやってごまかす彼の笑顔が私は嫌いだった。
昔見た笑顔はもっとキラキラに輝いていたのを私は知っているから。
彼ことアスランに初めて出会ったのは凄く昔の事、きっとアスランも覚えてない昔の事。
だからあんな風に無理に笑うんだ。
辛いなら笑わなくてもいいのに。
今も昔も世の中は荒れていてどこもかしこもぐちゃぐちゃで、
私が家族で暮らしていた家はただの鉄の塊と化した。
家族は全員死んだ。
双子の兄は軍人になって家にいなかったから、
もしかしたら生きてるかも知れないし、死んじゃってるかも知れない。
遠く離れて暮らす兄は関係無くて。
私は孤児となった。
そして、私はひとつの場所にいった。

避難所。
狭い場所にたくさんの人が押し込められていた。
子供が泣いた。軍人が威張っていた。そして、死人の匂いがした。

そこで出会ったのがアスランだった。

たくさんいた子供の中で私達は同世代だった。
だから、仲良くなった。
少ないご飯を分け合って一緒に食べた。
お腹はいつもペコペコだった。
けど、辛くても平気だった。
だって、アスランが笑うから。
アスランはいつもプラス思考だった。
それが私を笑顔にした。


『世界が平和になったら、俺と・・・』
『うん。いいよ』


約束もしたんだ。


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