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けどまあ、嫌いじゃないな。
翠(みどり)の目に炎の鬣で火翠。
俺の、俺だけの名前。
『・・・火翠か。うん。気に入ったし、貰っとくな』「よかった。ありがとうございます!」
『ん。…なあ、敬語やめないか?』「え?何で?」
『あー、その…パートナー…なんだろ?』「…! うん、ありがとう火翠!」
『…ん』・・・もうすでに負けてる気がするとか言ったら駄目だ。
俺もそのくらい分かってる。
チャラ…
ふと、ユウキの耳の辺りから音がした。
さっきまで気付かなかったけど、耳飾りが左耳についてる。
「そう言えば、火翠は僕のこと、何とも思わないの?」
『アンタの?』「うん。だってホラ、今火翠て話してる」
…言われりゃそうだな(←気付かなかった
『便利だし良いんじゃね?』
「便利って…」
『それも"個性"ってやつだろ』
「んー…そっか、そうだね!」
心配そうな顔が、安堵の笑みに変わる。
・・・さっきからコロコロと表情変わるな。
ユウキに悲しい顔はさせたくねえ。
会ってまだほんの少ししか経ってないけど
何故かそんな気になる。
悲しい思いをさせたくない
笑ってて欲しい
そう、強く思ったんだ。
「火翠」
『お?』
「これから、よろしくね!」
『・・・ああ。こっちこそよろしくな、ユウキ。』
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