anotherlife? | ナノ


  3


けどまあ、嫌いじゃないな。
翠(みどり)の目に炎の鬣で火翠。


俺の、俺だけの名前。



『・・・火翠か。うん。気に入ったし、貰っとくな』

「よかった。ありがとうございます!」

『ん。…なあ、敬語やめないか?』

「え?何で?」

『あー、その…パートナー…なんだろ?』

「…! うん、ありがとう火翠!」

『…ん』



・・・もうすでに負けてる気がするとか言ったら駄目だ。
俺もそのくらい分かってる。

 チャラ…

ふと、ユウキの耳の辺りから音がした。

さっきまで気付かなかったけど、耳飾りが左耳についてる。



「そう言えば、火翠は僕のこと、何とも思わないの?」

『アンタの?』

「うん。だってホラ、今火翠て話してる」



…言われりゃそうだな(←気付かなかった



『便利だし良いんじゃね?』

「便利って…」

『それも"個性"ってやつだろ』

「んー…そっか、そうだね!」



心配そうな顔が、安堵の笑みに変わる。
・・・さっきからコロコロと表情変わるな。

ユウキに悲しい顔はさせたくねえ。
会ってまだほんの少ししか経ってないけど
何故かそんな気になる。

悲しい思いをさせたくない
笑ってて欲しい


そう、強く思ったんだ。



「火翠」

『お?』


「これから、よろしくね!」

『・・・ああ。こっちこそよろしくな、ユウキ。』


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