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『で、お前誰?』
「えっと・・・初めましてポニータ君?僕はユウキです。」
『あっそ』
ちょっ、何そのそっけない返事。
僕はちょっとだけ傷ついたよ。ぐすん。
・・・うん、やめよう。
『・・・お前は、何とも思わないのか?』
「え?」
『俺の・・・目』
何かに怯えるように、おどおどと聞くポニータ君(それも可愛いとか思ったのは秘密。)
・・・確かにポニータ君の目は、一般的な色ではなかった。
代わりにあった色は、幾重にも色を重ねたような青緑。
「んー、何とも思わない?って聞かれたら、思うって答えます。」
『・・・そうだよな。こんな微妙な色違いなんて、気味悪いよな』
「あ、違う違う。それは誤解!僕は、気味悪いとかじゃなくて、綺麗だと思います!」
『っは!?嘘言うなよ!』
「嘘なんかじゃないですよ。てか何でそんなことで嘘つかなきゃいけないんですか。
そりゃ、ちょっと珍しいなとは思ったけど。だけど私は本心から綺麗だと思ったの。
ポニータ君、自分の目を鏡でちゃんと見たことある?
あのね、君の目の色は光と涙で、かな。少し色が違って見えてるんだ。
納戸色にも、浅黄色にも、エメラルドにも。あ、今のは空色に若草色を混ぜたみたい。
・・・他の人がどう思うかは分からないけど、僕は凄く好きだよ。」
あ、しまった。つい饒舌になっちゃった・・・
うわあああああポニータ君俯いちゃってるよどうしようそうだ樹海にいこう。いやこれなんか違う。
『・・・』
何を考えてるのか分からない。
だけど緑色の二つの目は、僕から反らされることはない。
なにこれ。地味に緊張する。
『俺は・・・旅がしてみたかったんだ。いつだったかに会った人間は、俺を連れてってくれるって言った。』
凄く嬉しかった。だから、その人間についていこうって、決めたんだ。
突然淡々と、ポニータ君は語り始めた。
それでも、瞳は反らされない。
これは、彼の昔話?
『なのに、気付いたら鉄の臭いのする建物にいた。
それから、それ、から・・・』
距離があってもわかるくらいに、ポニータ君は震えてる。
なんで?なんで今そんな話するの?
『・・・それから、よくわかんねー機械に入れられたり』
「もういい。話さないで」
僕は叫んで、ポニータ君の話を止めた。
見ていたくなかった。
小さい体が大きく震えて、泣きそうになってるポニータ君なんて。
『・・・』
「そこまで、して、話そ、うと、っしないで・・・」
『・・・何でお前が泣くんだよ・・・?』
「そんなのっ、わか、ないよ・・・」
情けないなあ。止めたいのに止まらないよ・・・
ポニータ君は不思議そうな顔で、泣きじゃくる僕をただ僕を見てた。
ああ、これ赤くなっちゃうかな。
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