04
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「ったく天音のやつ……」


さっきの寿の電話から考えると天音の部屋に来栖がいるってことだよな……。ったくなんのための一人部屋だと思ってんだよ。












---コンコン


「響ちゃん、またお客さんみたいだよー」
「だから、ちゃんづけすんな!!!」


……部屋にいるのは来栖だけじゃねえみたいだな。


「はいはい、今開けますよーっと、日向先生!?」
「お前らこんなとこで油売っている暇あったらさっさと準備しろ!!」


「あれ?龍也さんどうしたの、こんなところに?」
「うるせえぞ神宮寺。来栖もさっさと部屋戻れ!って一十木もいるのか……。あのな、お前ら!!」
「はい!はい!分かりました!!行くぞ音也」
「え、うん。日向先生さようなら」


来栖は突然入ってきた俺が恐かったのか、一十木を連れてすぐに出ていった。
しかし、神宮寺は出て行く気がなさそうだ。


「神宮寺、お前もさっさと出ていけ」
「どうしてだい?龍也さん。
俺としては響ちゃんを先生と二人きりにさせるほうが問題だと思うんだけど?」


……なるほどな、こいつは天音のことを知っているってわけか。


「ふざけんのもいい加減にしろよ、お前」

「ちょ、龍……日向先生どうされたんですか、急に」
「お前は、なんのための一人部屋だと思ってんだよ」
「へ?」


俺がどういう意味で言ったのか天音は分かっていないみたいだった。


「で、神宮寺はどこまで知ってんだ、お前のことを」
「えっと、」
「響ちゃんが女の子ってことは知ってるよ」
「そんだけしか知らねーんだったらこの先には踏み込むな」


天音であるとバレていないのならまだいい。それがバレていたら、天音の仕事にも影響が出るだろう。それだけはなんとしても避けたい。


「なるほどね、龍也さんは響ちゃんのことを知っているんだー」
「ああ、そうだ、だからこれ以上詮索するのもこいつに近づくのもやめろ。あと、響」
「はい?」
「お前、何を1番優先すべきか分かっているだろ」


確かに、この学園での生活も大切だと思う。ただ、仕事の電話を切り、こちらで楽しむというのはいかがなものか。


「はい……。
レン、悪いけど、日向先生と話があるから」
「響ちゃんに言われたら仕方ないね。
じゃあ、明日から楽しもうね」


神宮寺は去り際に、天音に近づいたかと思うと額に唇を寄せた


「てめぇ、神宮寺!」
「じゃあ、龍也さん、また明日」








神宮寺もいなくなり、部屋には俺と天音の二人きりになった。天音は俺が怒っていることが恐いのか、少し離れたところにいる



「お前なんで俺が怒っているか分かっているか」
「えっと、嶺二からの仕事の電話番号を切ったこと?」
「それも、そうだ。それともう一つ。
分かっているか、お前は女だ」
「え、うん」
「いくら男装していて、その友達だとしても、アイドルが男と部屋に一緒にいるってのはまずいだろ」
「……はい」


俺が何を意図して言ったのかが通じたようだった。


「だから、これからはしっかり気をつけろよ」
「うん」
「もちろん明日からもな」
「分かった」
「あとは、仕事と友達どっちを優先させるかしっかり考えること。
嶺二のくだらない電話じゃなかったんだろう」
「うん」
「じゃあ、今、多分勘違いしているから、しっかりかけ直してやれ。」
「うん」
「じゃあ、俺も出ていくから」
「あ、うん、迷惑かけてごめん」
「まあ、そんな気にすんな。次からは気をつけろよ」


俺が部屋を出ていこうとすると天音は見送りのために扉の近くまで来た。
俺を見上げる天音を見たら自然と手が伸びていた。


「子供扱いしないでよー」
「そんなんじゃねえよ」


そう、これはそんな気持ちじゃない。
頭を触る手はもう一度髪に触れ、そのまま天音を引き寄せた。


「消毒な」
「へ?」


先程神宮寺が触れた場所に俺も口づけた。
何が起きたのか分からなかったのか、天音は目を大きく見開いた。
その数秒後、俺の行動を理解した天音の顔は赤くなっていった。


「お前、こんくらいには耐性つけとけよ」
「え、あ、」
「じゃあな」




まだ、何が起こったのか分かっていない天音を気にせず俺は部屋を出た。










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