03
「もう少しだなー!!」
「そうだなー」


そう、もう少しで夏季合宿が始まる


「やっぱ一大行事だし、わくわくするよなー」
「それに、うちの学園、金あるし、きっとすごいとこなんだろうな!」


「ほら、お前ら席つけー」


龍也が教室に入ってきた。
生徒達は皆席に着いた。


「さて、お前らも楽しみにしているだろう、夏季合宿の話だ。
行き先は南のリゾートアイランド。帰ったら卒業オーディションのペアを決めることになる。デビューを一緒に目指すパートナーになるからじっくり選ぶように。
もう、決めたやつもいるかもしれないが、今回がまだペアを決めてないやつの最後のチャンスだ。
分かっているとは思うが、もちろん恋愛禁止だ。見つけた場合は即刻退学してもらう。
以上だ。準備もあるだろうから、後は自由だ。近くには海があるから水着の用意も忘れるなよ」



「準備かー……」
「響ちゃんは準備が苦手なのかい?俺がしてあげてもいいよ?」
「全力でお断りします。あと、ちゃんづけすんな」
「冷たいねー」


レンにだけは絶対に頼まない。それにしても、今日はいつにも増してべったりだなー


「何がいるんだろうなー」
「着替えと水着と作曲道具と後はー」
「お前ってずっと何か曲作っているよな」
「そうか?まあ、曲は何曲作っても困らないしなー」


というか、課題以外にも作らなきゃいけないものが沢山ありすぎまして……。
この間やっと蘭丸に二曲目を渡すことができた。時間をかけすぎて本当に申し訳ないことをしてしまった。蘭丸は「気にすんな」と言っていたけれど、そりゃ気にしますよね!
あとはQUARTET NIGHTの手直しを早くしないといけないんだが、まだ手すらつけていない。4人分はこの間収録まで終わらせたけれど、ユニットがほぼ手付かず状態だ。


「じゃあ、今度俺にも作ってもらおうかなー」
「暇があったらな」


ただでさえ忙しいんだから、レンに曲を作る時間なんてない……。でも、時間に余裕があったら作りたいって気持ちはある。レンの歌い方はかなり好きだから。


「あーレンだけずりいぞー」
「大丈夫レンにあげるとしたらそれよりも先に翔に作るから」
「まじか!ありがとな」
「おう!」


翔は本当にかわいくていい子だ。翔の笑顔見れたら私はそれで幸せだよ、かわいい。


「響ちゃんは俺に冷たいね」
「大半はお前がわりいからだろ」















「さてっと」


冗談抜きにしてしっかり準備しなきゃですよねー。
それにしても水着か……。さすがに着れないしなー……。
これは忘れちゃった、テヘってノリでいいかな……。



「〜〜〜♪」


私がスーツケースに荷物を入れていると電話が鳴った



「はい、天音です」
『あー天音ちゃん?』
「嶺ニ?どうした?」
『この間のペアの件なんだけど、』
「なんか問題あった?」
『あ、そんなことはないよー。ボクとランランの曲の歌詞が一応できたから一度見て欲しいなーって』
「カミュと藍のほうは?」
『うーん連絡取ってはないんだけど、多分出来ていると思うよー』
「うーん……。私明日から忙しくてそれの準備を今しているんだけど」
『あ、忙しいときにゴメンね』
「あーいや、今は大丈夫なんだけど……」


コンコン


「響いるかー?」


……おっと、翔か。


「あー、翔ちょっと待ってくれー」
「ん?ああ」


「ごめん、嶺ニちょっと友達が来た。後でもう一回かけなおすけど、とりあえず歌詞のデータ送っておいて」
『ちょ、天音ちゃん!?』
「ごめん」


私は半ば強引に嶺ニからの電話を切った


「待たせて悪かったな、翔」


私は扉を開け、翔を部屋に招き入れた。


「悪ぃ、電話中だったか?」
「あとでかけ直すって言ったから多分大丈夫。で、どうした?」
「いや、たいしたことじゃねえんだけどさ、」











□□□



「天音ちゃんが危ない」
「あ?いきなりどうしたんだよ、お前」
「ランラン!!だって、天音ちゃんが俺の、っていうか仕事の電話を切るんだよ?」
「そりゃ、仕事している時間だからだろ」
「違うんだって!!ドア叩く音が後ろでしたと思ったら天音ちゃんその相手のこと"翔"って呼んだんだよ!!」
「"翔"って」
「そうだよ!この間起こしたときに呼んでいた男の名前だよ!!仕事よりもその"翔"って奴を優先するなんておかしいよ!!」
「そういやあいつ前の部屋から引っ越したっていっていたよな……」
「それ、完全にその翔ってやつと住んでいるよ!!」
「おい、あいつらにも連絡しておけ」
「あ、うん!!」


それから僕はアイアイとミューちゃんに連絡した。二人とも今は仕事だが、終わり次第こちらに来るらしい。今日はランランとユニットの打ち合わせをするために一日抑えておいてよかった


「あ、一応龍也さんにも連絡しておかなきゃ……」


龍也さん出るかな……


『寿か。なんだ?こっちは忙しいんだが』
「天音ちゃんが大変なんだよ!!!」
『あ?天音がどうしたんだ!?』


先ほどまでの面倒くさそうな龍也さんの声じゃなく、何かあったのかと焦るような声に変わった


「今、天音ちゃんと電話していたんだけど、翔って奴が部屋に来て電話切られて、これは天音ちゃんが危ないよ!!」
『……よし、分かった。こっちで手は打っておく後のことは任せろ。お前はしっかり仕事しとけ』
「え、ちょ、龍也さん!?」


「ランラン〜龍也さんにも電話切られたー」
「それ、お前がうざいからじゃねえの?」
「ランランひどい!」




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