05


クラスにも結構馴染めてきた今日この頃。ついにレコーディングテストが行われる。


今回のレコーディングテストはクラス内の作曲家コース、アイドルコースがペアを組み作曲、作詞、歌唱のテストをするものだ。その様子は学園の至る所にあるテレビで見ることができる。


朝から行われているこのテスト、私は午後からになっている。そのため教室で油を売っているんだが……


「どうしよう」
「緊張する」
「落ちたら再テストでしょ?」
「あーこえー」




……緊張すんのは分かるけど静かにできないのかな。




HAYATOも同じことを考えていたのか、不愉快だという顔をしながら、教室から出て行った。




「響ー!!」
「おう、翔」
「緊張したけど、楽しかったー!」
「あ、翔はテスト終わったのか」
「おう!うまくできたかはわかんねーけど、すげー楽しかった!!」
「楽しめたならよかったな」
「おう!響も頑張れよ!緊張せず、落ち着いてって、響、緊張してなさそうだな!」
「あはは、そうかもな。」
「すげーな、響」
「別に、そんなんじゃねえよ」


そりゃ、学生と違って、そんな機会沢山あるからね、とは口が裂けても言えない。
















さーってそろそろブースに行くかー。


「おう、次響だぞ。入るか?」
「あ、はい!」


ちょうど前の人達がテストを始める前だったのか、私は龍也にブースに入れてもらった。


「あ、響くん。」
「あり?俺の一組前は、一十木くんと春歌ちゃんだったのかー。一十木くん頑張って、楽しんでおいで!」
「うん、ありがとー」


「へー、人の心配するほど余裕があるのね!この子が龍也のお気に入りの響くん?」


で、出た。なに、テストの評価をするのは龍也と林檎なの?うえー。


「お気に入りかは知らないですけど、」
「ふーん、あんまりぱっとしないんだけどなー。」


林檎許すまじ。


「こら、お前喋るなよ。」
「はーい、じゃあ、音くん準備はおっけー?」
「うん!」
「じゃあ、春ちゃんは音楽流してね?」
「はい!」












へー……。すごいいい曲。作曲したことないって言っていたのに。音也の詞もすごくいい。まっすぐな気持ちがそのまま伝わってくる。それに、すごく楽しそう。


「へー、」
「ひゅー」


どうやら林檎と龍也の評価も良さそうだ。







「ありがとうございました」
「はい、お疲れ様ー。じゃあ、二人の試験は終わり。」


二人はそのまま部屋から出ていった



「さて、運悪く両方しなきゃいけない響くん。悪いけど評価を甘くしたりはできないの、ごめんね?」
「別にいいですよ。運も実力のうちですから。先生、曲だけ流してもらってもいいですか?」
「当たり前だ」


私は龍也にCDを渡した。




どんな曲を作ろうか迷ったけど。多分、先生方が欲しがっているのは、素人感があって、それでいてまっすぐな曲。
今回の曲は新入生らしく。学園生活不安もいっぱいあるけど、友達と一緒に頑張っていきたい。そういうのを作ってみた。
狙いすぎかと思ったけど、私にとっても学校生活なんて経験したことないものだし、ドキドキしてる。これが私のまっすぐな気持ち。









「ありがとうございましたー!」
「……」



「それじゃあ、失礼しまーす」






龍也と林檎の驚いた顔、楽しかったなー。


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