04


最近、学園生活にも慣れはじめた。決まった時間に毎日起きるという生活をあまりしてこなかったせいもあり、最近のこの規則正しい生活が楽しくて仕方がない。
さーって今日も一日頑張りますかー。



私が朝食を終え、教室に向かおうとしたとき沢山の本を持った春歌ちゃんに出会った


「はーるかちゃん」
「え、あ、響くん」
「重そうだし、俺が持つよ」
「いえ、そんな」
「いいっていいって」


私は春歌ちゃんから半ば強引に本を奪った。それにしても、意外に重たいぞ、これ


「春歌ちゃん、大丈夫?」
「え?」
「ちょっと噂を聞いて」
「……私が悪いんです。楽譜も読めないのに、何も準備していないのにこの学園にきたことが」
「……そうかもしれないね。ここにくる人たちは皆デビューを、プロになることを目指しているんだし。」


私がそう言うと春歌ちゃんは先程よりも暗い顔をした


「でもさ、今頑張ってるじゃん?こんなに重たい本読んで、それってなかなかできないし、俺はすごいと思うよ」
「……」



「昨日の夜に音也が俺の部屋に来てさー」
「一十木くんが?」
「そう。で、作詞のやり方教えてーって」
「そうなんですか。」
「二人とも初めてのことを勉強して、頑張って、それってすごいことだよ。俺はそう思う」
「響くん……」
「誰がなんと言っても、俺は頑張ってる人の味方だよ。噂なんて言わせないくらいの実力をつければいい話だよ。」
「……実力。」
「例えば、弾けなかったピアノを皆の前で堂々と弾くとか?」
「一応、楽譜は読めるようになったんですけど……」
「え!?あれ!?俺が聞いた話だと昨日楽譜が読めなかったって!?」
「あ、はい」
「一日で?」
「はい」


すごい根性だな。全く読めなかった楽譜を一日で読めるようにするなんて……。そんなことなかなかできない。もしかしたら春歌ちゃんはすごい子になるかもしれない……。


「それはすごいことだよ、春歌ちゃん」
「え、あ、ありがとうございます」


「これだったら周りを見返すのに時間はかからないかもなー。あ、この本ここでいい?」
「あ、はい、すいません。」
「大丈夫、大丈夫。こういうのは男の仕事だから!」


私女だけど。


そのあと、本をしっかりと片付け、春歌ちゃんを教室まで私は送った









「響ーおはよー」
「おはよー翔!」
「昨日、音也が邪魔しなかったか?」
「ん?部屋には来たけど、別に邪魔じゃなかったぞ?」
「ならいいけど、響一人で大変だろうし……」
「……翔!!」


なんて、なんていい子なんだ!本当に翔はいつも私の心配をしてくれて……。はあ、かわいい。


「やー、おチビちゃん達、朝から元気だね」
「だーれがおチビだ!!俺は来栖翔だって、何回言ったら!!」


げ、神宮寺くん。今日も後ろに沢山の女の子を連れていらっしゃる


「あれ?響はおチビと言っても怒らないんだね。」


……私も含まれているのか。そんなこと言っても、私女子だし。君より小さくて当たり前だし。


「別に?」
「ふーん、面白くないね」
「は?だーれが面白くないって!?」


この私に対してそんなこと言うとはいい度胸だな、てめ、


「おい、おまえら、さっさと席につけ」




いつの間にか龍也が教室に来ていたらしい
神宮寺くんめ、あとで覚えてろよ!!





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