02


「そういや、響ってなんでアイドル目指してんだ?」


昼食の支払いを済ませ、私と来栖くんは一緒に席についた。


「ん?あー、俺のすげー好きな人がアイドルしていて、その人に近づきたいなーって……。
その人が作詞作曲していたから、俺もちょっと勉強していたってわけ……。」


別に嘘は言っていない。それが私がアイドルを目指そうって思ったきっかけだし。うん、間違ってない。


「へー。すげーな。ちなみにそのアイドルって誰だ?」
「響也って、知っている?」
「響也って、あのスーパーアイドルの!?」
「おう!!!!」
「知っているも何も俺が初めて買ったCDあの人の曲だぜ?」
「本当に!?響也いいよな!!!!」


私は勢い余って、来栖くんの手を握っていた。


「おう、なんか響がそんなにテンション上がるとは思っていなかった。」
「おーわりぃわりぃ、響也のことになるとつい。」


昔からの悪いくせだよなー。これ。


「いや、響にも、こんな一面もあるんだなって」
「変か?」
「いや、響と仲良くなれた気して、むしろ嬉しい。」


そう言って来栖くんは私にニカッと笑った。
なんていうか、来栖くん、すごくいい人!


「来栖くんはなんでアイドル目指してんだ?」
「自己紹介のときも言ったけど、俺、本当に日向龍也の大ファンで。この学園入れただけでもびっくりしたのに、あの日向龍也に教えてもらえるなんて本当にやばくてさ!」
「それ、すごくね?」
「だろ?正直同じ空間にいるだけで……」
「それがさ、将来アイドルになって、共演とかできたら……」
「それ、やべえええ」










「なんか、来栖くんと話せてすげー楽しかった」
「なー、響。」
「ん?」
「その来栖くんってのやめようぜ。普通に翔って呼んでくれ」
「翔?」
「おう」


翔にかわいらしい顔でにこっとされた。
やばい、かわいい。翔かわいい。かっこいいけどかわいい。


「俺、翔のこと大好きだ!」
「なんだよ、急に。」
「いや、なんか好きだわ、俺、翔とは仲良くしたい!!」
「お、おう。ありがとう」





これで午後からの授業も頑張れるぞー!よっしゃああああ!!





食堂から教室に戻るとき、ある噂を耳にした。なんでも春歌ちゃんがあの曲をピアノで弾けなかったらしい。







さーってと、授業終わったし、蘭丸に曲を渡しに行くかー。
確か、蘭丸は今日……


「響ー!!」
「ん?どうした、翔?」


俺が帰り支度をしていると翔が話かけてきた。


「この後暇かー?」
「悪い、ちょっと用事あってさ。あと、課題しようと思って!」
「あ、そっか、響大変だもんな。」
「また、誘ってくれ!次は時間空けておく!」
「おう、頼む」





翔、やっぱりいい子。そしてかわいい。せっかく誘ってくれたのに断って、少し心苦しいけど、できたばかりの曲を早く蘭丸に見てもらいたい。










完璧に天音になり私は蘭丸のもとへ向かった。





「蘭丸ー!!」


私は後ろから蘭丸に軽くどついた


「なんだ、天音か。」
「なんだ、ってちゃんと行くってメールしたじゃん」
「んあー?」


そうだった、蘭丸がメールを確認することなんて全くないんだった。


「で、なんの用事だ?」
「昨日言っていた蘭丸のソロ曲。とりあえず一曲できて、デモ作ってきた。あと楽譜、はい!」
「は?もう!?」
「だから言ったじゃん、前々から頭にあったって。ちょっと見て?」


蘭丸にはrockぽい曲が似合う。でも、そういう曲だったらきっと自分でつくる。
だから、少しゆっくりな曲、蘭丸ぽくない曲を作ってみた。


「ど、どうかな」
「俺が歌えるかはしらねーけど普通に好きだぜ」
「本当に!?」
「ああ、ただこのへん高くないか?」


サビの最後をわざと高くしているところを蘭丸に指摘された


「それね、ちょっと狙ってみたんだけど、どう?蘭丸低くていい声だからさ。そういう人が、頑張って高い声だして擦れる声、きっと好きな人多いと思うんだけど……。」
「ふーん、ま、天音が言うなら試してみるけど」
「本当?ありがとう。もう一曲は少し時間かかるかも……。どんな曲がいいとかなんかある?」


「天音の作った曲だったらなんでもいい。」


「いやいや、」





「本当だ。お前の曲ならなんでもいい。好きなんだ。」





……ど、どうしよう、蘭丸がすごくでれてる。
あと、なんか知らんがすげードキドキする。私としっかり目を合わせて、私の作り出した音楽を素直に好きだと言ってくれる。こんな幸せなこと、ない。


「ありがとう……。蘭丸がもっと好きになってくれるようなそんな曲を作るね。時間がかかったらごめんなさい。」


「…ょ…じゃねぇよ」

「ん?なんか言った?」
「別に、なんもねーよ!お前がそういうやつとか知っていたからな!!
とりあえずお前がもう一曲つくるまでの間に、これを完璧にしておく」
「うん、ありがとう!それじゃあ私帰るね?」


「飯、一緒に食うか?なんなら奢るけど」
「んー、この後用事あるし、遠慮しとくね。次はお願いします!」
「おう、じゃあな。」
「うん、またね」







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