非日常を求めて | ナノ


▼ 池袋人にはご注意を



『ん...あ、れ?臨也がなんでここに?』

ふと目を覚ますと私の顔の前に臨也の整った顔があった。
そっか、私トリップしたんだ。
やっと叶った念願の夢が今ここにある。
すごく嬉しい!

「ん...」

臨也って無駄にいい顔してるよね。
でも私はそのカッコよさが良く分からん。
まぁ声は好きだけど...。
ただし、中の人に限るが。
つか、ホントに一緒に寝たんだな。

一緒に寝てた時の温もりがほんのりと身体に残ってる気がした。

何時ぶりだろう?誰かと一緒に寝るの...。

窓を眺めながらボーっと考え事。

『ほへ!?』

考え事をしていたら、どっかのアホな情報屋に抱き着かれた。

「おはよー。忍音。朝から無防備だね」

『っちょ、何の真似だし...おはよう、臨也』

「誰かと寝るのは何時ぶりだろうとかでも考えてたの?」

『ホントにエスパー? そう。その通りだよ』

「俺は情報屋さ」

『そうだったね(笑)そうそう、今日は池袋に行こうと思うんだ。みんなに挨拶したいし。ま、あえたらだけどねー』

「どうせ、目当てはシズちゃんだろ?」

『んー、まぁね』

「お金は?」

『あ....どうしよ』

大切なことを忘れてた。
私の所持金は...無い。
0円ですよ!

『ない....全く一銭も持ってない。どうしよ....』

「はぁ、世話が焼けるトリップ者だ」

そう言って、臨也は寝室をでた。
とりあえず、私もついて行ってみる。

「はい」

手渡されたのは諭吉さん3枚。
あぁ、諭吉さん3枚なら問題はないね。
うん。

『....えぇーっちょ、こんなにもらっていいの?!』

「うん」

え、あっさり言われた...。
金持ちってこんな感じなの。

『そんな、あっさり過ぎでしょう...』

「そうかな?というより、忍音には必要なものがあるでしょ?だから、その分も含めてだよ」

『なるほどねぇ...ありがと!臨也! 日用品はできるだけ少なく必要なものだけ買おう』

「なんで」

『メイトと、とらのあなでいろいろと...wwあぁ!同人誌欲しい!イザシズねぇかな?シズイザでも、イザミカでもマサミカでもイザマサでもなんでもたべるよっ☆臨也はやっぱり、猫耳かな?いいね、にゃんこ臨也wいざにゃんwwシズちゃんは攻でしょ!?受の臨也の顔半端なくエロ可愛いっ!やっぱ、K-BOOS行かなきゃ売ってないかな?つか、まずデュラネタすらないっしょw』

息をせずにつらつらとBLの愛を語ってみた(笑)
そんな私を見て臨也は唖然としてる。

「...頭大丈夫?狩沢みたいだよ?つか、イザシズとか何それ?」

『何それ?美味しいのって言いたいんですね?わかります。じゃなくて、今のは.....俺の本性です★』

「最後に星つけないの。取り敢えず、行きたいとこに行っておいで。お金は余ったら財布にでもいれといて。俺は仕事だからここで帰り待ってるからさ」

『らじゃー。よし、行ってきます!』

「はいよ。行ってらっしゃい」

そんなこんなで、マンションをでた。

―池袋―

はい、着きましたよ。池袋。
これから、誰に会えるのか楽しみだな。

淡い期待を胸に抱いて街へと踏み出す。

『シズちゃんいないかな?シズちゃんシズちゃん...』

シズちゃんに会いたくて、かなり連呼してしまった。

街にちらほら目立つ黄色。


“黄巾賊”

まだ、抗争は始まってないんだよね?

ちょっとした不安。
でも、そんな不安はすぐに何処かへ消えて行った。

『メーイトー!!着いたー!』

大声で叫ぶ。
迷惑?何それ美味しいn...はい。
迷惑ですよね。
とにかく、“アニメイト”にいってみた。

―アニメイト―

『やっぱ、デュラは無いか...はぁ』

無いとは思っていたけど、ちょっとガッカリだな。
そう思いながらもアニメイト内をふらつく。

『あ...黒執●...(笑)』

知っているというより、そこそこ好きなランクに入る漫画が目に入り顔が綻ぶ。
その漫画を手に取ろうとした瞬間、手と手がふれた。

『あ...すいません』

一応、謝っておこう。

「やぁねえ、いいのよ。はい、どうぞ。黒●事好きなの?」

え...?
聞いたことある口調。
いや、私の幻聴に過ぎないか。

『...はい、面白そうだなって思って買ったらハマってしまって(笑)あ、全巻持ってるので大丈夫ですよ』

気のせいだと思い、聞かれた質問に返答する。

「あ、そうなの?よっと...」

といってマンガ本をもとの位置に戻した。

「狩沢さ〜ん、こんなとこにいたんっすか。探し回りましたよ〜」

「あぁ、ごめんねえ、ゆまっち!」

『え、うそ...』

思ったことが口から出る。
私の悪い癖。

「ん?どうしたの?」

「狩沢さん、この子誰っすか?」

「黒執●のマンガを取ろうとしたら、おんなじの取っちゃってさ。ちょっと話してたの」

『狩沢さんに遊馬崎さん。てことはドタチンと渡草さんも!?』

「え?なんでそんな事知ってるの?」

『あぁ、えっと...あとで必ず事情を話すので...とりあえず、此処から出ていいですか?』

私の質問に、顔を少し顔をしかめながらも
二人は頷く。
そして連れて来られたワゴン車。


「意外と速かったな。って誰だそいつ?」

「あとで話すからさ、ドタチン。それじゃあ、ここで話そう」

狩沢さんの言葉に頷く私。

「それで、なんで俺達の事知ってたんすか?」

「何の話だ遊馬崎?」

「聞いてればわかると思いますよ」

『私が皆さんのことを知っていたのは...』

重い口を開く。
―この人達なら言って大丈夫だよ。
自分の心に言い聞かせる。

『この世界に、トリップしてきたからです』

沈黙。
そりゃそうだよね。
急にトリップ者ですって言われても沈黙するのは当たり前。
それでも、誰かがこの沈黙を破って話しかけてくれることを願ってみた。

「は?どういうことだ?」

最初に口を開いたのはドタチン。

『その、良く分からないんですけど...』

♂♀

私は臨也の悪趣味なサイト以外のことを全部話した。
そしたら、思っていた通りワゴン組のみんなは理解してくれた。

「うわぁ!トリップってホントにあるんだね!ゆまっち!」

「そうっすね!まさに、2次元の女の子がやって来ちゃったっすよ!」

盛り上がる二人。
寧ろ君たちが2次元なのだが。
まぁいいや、ほっとこう。

「お前ら、うるせぇ。大事な話んときくらいそうゆう話はすんな。#NAME##、本当に俺らの事わかるのか?」

『はい、分かる範囲のことならですけど。えっと...まず、門田さんから。門田京平、9月15日生まれのB型。身長は183p。あだ名は「ドタチン」臨也、シズちゃん、新羅の同級生で来神学園に通っていた。そんで、昔はブルースクウェアだった。次、渡草さん。渡草三郎、7月30日生まれのA型。身長は166p。このワゴン車の所有者で聖辺ルリの熱狂的なファン。んで、遊馬崎さん。遊馬崎ウォーカー、1月23日生まれのA型。身長174p。2次元をこよなく愛するフリーの氷彫刻師。電撃文庫の愛読者。最後、狩沢さん。狩沢絵理華、11月3日生まれのB型。身長は160cm。遊馬崎さん同様のオタクだが、腐女子要素がある。...こんなもんでしょうかね?』

皆は、唖然としている。

「すげぇ...。」

ドタチンが感嘆の声を漏らす。

『まぁ、本当の事かは知りませんけどね』

「いや、合ってるっちゃ合ってるが...忍音も相当なオタクだな」

『違いますよ。私はただの腐女子ですよー(笑)』

「それなら私と話があいそうね!」

『そうですね!!私、狩沢さんと一度語り合いたかったんですよ!あ、皆さんのアド教えてもらっていいですか?』

何かあった時のためと思い言ってみる。
皆、承知してくれてアドと番号を交換した。
そのあと、お礼を言ってワゴン車から出た。

♂♀

―東口池袋公園―

『ふ〜。これで、良かったんだよね』

誰にも聞こえない独り言をつぶやく。
あの後、日用品と私の生活に必要なものとかをそろえた。
んで、今はその休憩に至る。

「そこのおじょーっさん!俺とお昼でもいかない?」

ボーっとしてるとこえをかけられた。

「紀田君、やめようよぉ〜」

二人の少年たち。
“竜ヶ峰帝人”と“紀田正臣”

『えっ!?私、ですかっ!?』

「そうそう、ちょうどお昼時だし一人なら俺たちとお昼たべよーよ!」

ナンパ口調で正臣にお昼誘われちゃった...。
正直、超超超超超超超嬉しい!

『えっと、それってナンパですか?』

わかってるが聞いてみる。

「そだけど〜」

相変わらず軽い正臣。
に対しておどおどしてる帝人君。

『うん、いいよ!お昼食べに行こう』

「え!?まじで!!そうと決まれば、すぐに行こう!」

「紀田くん?!ホントに行くの?」

「こんなチャンス、めったにないんだから行くに決まってんだろ?あ、こいつも一緒でもいい?ホントは君と二人がよかったんだけどさあ〜」

『全然いいよ!あ、私は歪楽忍音っていうの。よろしくね?』

「俺は、紀田正臣。んで、この奥手君が竜ヶ峰帝人。よろしくな、忍音!」

「どうも...よろしくね、歪楽さん」

『こちらこそ!!』

♂♀

とまあ、そんなこんなでお昼を食べて来ました!

「そんじゃ、また会えたらな!」

「お昼付き合ってくれてありがとうございます」

『いいのいいの!んじゃ、また会えたら!』

二人に別れを告げて新宿に戻ってきた。


―某新宿マンション―

『ただいま〜。はぁ〜、楽しかった!』

「おかえり。どうだった?誰かに会えた?」

『うんっ!正臣に会えたっ!正臣!ヤバいっ!かっこいいよ!ヤバい!今すぐ死ねる!』

「そんなに早く死んでもらわれたら、俺が困るんだけど?」

『わかってるってー!私も困るからさ!』

「それより、はいこれ」

『ん?何これ...制服?』

臨也から渡されたのは制服。
しかも来良の。

「そう、明日から来良学園に転入するから」

『え!まじで!来良ktkr!正臣に会える!正臣正臣正臣正臣正臣!!』

「五月蝿いよ、黙って」

『焼きもちですか?』

「違う。ただ忍音が五月蝿いだけ」

『そっか、正臣がダメなんだ』

「別にそういうわけじゃないんだけど」

『シズちゃんシズちゃんシズちゃんシズちゃんシズちゃん!!』

「ねえ、忍音。黙ろうか?」

顔を近づけてくる臨也。
それも、かなりの至近距離で。
なんですかこのシュチュエーションは。

『何してるの?臨也?』

「あれ、顔赤くならない...」

何を言ってんだこいつは。

「普通、女の子ってこーゆうとき顔赤くなるもんじゃないの?」

『なるやつはなる。私は別にドキドキとかしないから』

「へー、つまんないねぇ」

何がつまんないだ
ドキドキしないってことはないと思うけど多分
相手が臨也だからドキドキは来ないんだと思う。

『ねぇ、臨也』

「ん?何?」

『私、明日から行くんだよね?学校』

「そうだけど。それがどうしたの?」

『来良の入学式っていつ?』

「明日だけど?」

『それじゃ、転入じゃない!入学!』

「どっちにしろ同じじゃないか」

『そうだけどさぁ...あれ?私、受験してないんだけど...?』

「そうだね」

『っ!まさか...。あああ!すいません!本当にお金返しますから!ごめんなさい!ごめんさ臨也...』

「変に造語しないでよ...とりあえず、謝らなくていいから。忍音はトリップ者だし何も持ってない」

『何も...持ってない...』

「そう。全くね」

そう。
臨也の言うとおり自分はトリップ者。
持ってるものは自殺オフの時に持って行ったいつも通りの持ち物だけ。
そう思うと何だかイラつく...。
本当に自分には何もないのかってね。

『えっと...ありがと...』

心の底から感謝したと思う。
臨也に感謝するなんてね...。

「いえいえ。その代り俺の仕事をちょっと手伝ってもらうからね?」

『...情報屋の?』

「まぁそういった感じかな」

『うん!わかった』

情報屋か...。
一度やってみたかったし、いい機会だと思う。

「あ、制服一回着てみたら?」

『そうだね!』

私は臨也に部屋を借りて来良学園の制服に着替える。

『うわ〜スカート短っ///』

アニメでも見たことあるけど
此処のスカート短いな//

『いーざや!着替えたよ?似合うかな?』

「うん、似合ってるよ。サイズもぴったりだ」

『ありがと///てゆか、スカート短くない?』

「昔っからそうだよ、此処の学園はね」

『へー、そうなんだ!いいや後で改良しよう』

「そのままでも可愛いのに」

『私は可愛くなんかないよw』

「俺的には可愛いと思うんだけどなぁ」

『はいはい、褒め言葉ありがとー』

臨也の言葉を受け流し、私はこの服をどう改良するか悩んだ。
まあ、明日はちゃんとした格好で行くか(笑)


明日は夢に見たまでの入学式。
多分今までで一番楽しみにしてた入学式だと思う。
いつもより少し早寝をして、明日に備えよう。

忍音は臨也にそう告げ臨也の自室を借り寝ることにした。
ほら、物語の歯車はもう少しで狂いだす。


.

Prev / Next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -