非日常を求めて | ナノ


▼ 嗚咽


目が覚めると知らない部屋にいた。
いや、この部屋は知っている。確か、臨也のマンション。
あ、そっか昨日睡眠薬飲んで寝ちゃったんだっけ?バカだな、相変わらず。

私はソファーの上で寝ていたらしく体を起こすとパソコンを弄っている臨也がいた。
多分、チャットでもしてるのかな。

「あ?起きた?おはようっていっても、君が寝てたのは1時間くらい。起きて早々悪いんだけど、君は何者?」

何回聞いたし、この言葉?

『だから、私は「人間?そんな事見れば誰だってわかるよ?てゆうかさ、君本当に何者?君のこと調べたけど見つからないんだ、君の情報“書籍”がね。忍音ちゃん?」...どうやって名前知ったんですか?』

「ケータイ見た」

『わー変態! 大変、警察に言わなくちゃ! てことでお世話になりました』(棒読み)

荷物を取ってマンションを出ようとしたら腕を掴まれ逆戻り。
今は臨也の腕の中。

『ちょ、離してくださいよ!』

「ヤダ。」

『....ウザ。やっぱ、書籍もないんだ』

多分、私は軽くドヤ顔をしてるのだろう(微笑)

「ウザって...」

『だって本当でしょ?ウザヤさん?』

「ウザヤって...」

『とりあえず、お邪魔しましたー』

臨也の腕から抜け出そうとするが力が強まっていくため逃げれない。

「俺が簡単に逃がすと思う?」

『うっ...思いません』

「でしょ?てことで、君の逃げ場は無い」

といわれソファーに座らされた。

「んで、俺は君の情報が知りたい。なんで、普通の女子高校生がこんなに情報を知っているのか。それも、俺の情報をね?」

『いや、知ってるのは臨也さんだけじゃないですよ?シズちゃんの事とか、正臣の過去とか、ダラーズとか、あとは、首無ライダーとかその他諸々。って、これ言ってよかったのか?そしたら、私は臨也の思うつぼになってしまう。俺、バカだ』

何か知らないけど、ひとしきり話してしまった。

「ふ〜ん」

と言いながら、顔を歪める臨也。
あぁ、嫌な予感がする。

「本当にいろいろ知ってるんだね」

『はい。だって、私トリップ者ですから!』

あ、ついノリで言ってしまった...

「は?何言ってんの?トリップ者?」

『あ...言っちゃったよ。ん〜なんか臨也に負けた気がするからこの際、言える範囲で教えます!』

私って、流されやすいタイプだよなw

「よく分からないけど、自ら教えてくれるならいいや」

『えっとまぁ、私の名前はご存じ“歪楽忍音”ですよ。んで、さっきも言ったようにトリップ者です。うんと、私の世界からいうと、私は“デュラララ”というアニメ?にトリップしてきたってことになりますね』

「なんで、疑問形なのさ」

『いや、そのデュラララ...言いずら。デュラにはアニメ以外にマンガがあってまぁ、その原作が小説なんですけどねwほら、これです』

そう言って私は臨也に小説を見せた。
あくまで表紙を見せただけだよ?中身見せると臨也は何をするかわからないからね。

「なんで表紙だけなの」

『貴方に見せると小説の内容が変わったり、この世界のこれから起きることがわかってしまうので見せません』

「あっそ」

『どうせ勝手に見るんでしょう?』

「何?君、エスパー?」

『違います。トリップ者です』

―パラっ

一応確認のため、中身を開いてみた。

『え.....何....こ...れ...?』

小説の中身は真っ白で何も書いていなかった。

『あ、此処だけ書いてある』

唯一書いてあったのが先ほど?のカラオケBOXの内容のみ

「これじゃ、俺が見ても何が起こるかこの先わからない」

『ま、内容は暗記しているから大丈夫かなw.......てか、俺これからどうしよう。行く場所ないじゃん!このまま飢え死にするのかな?ま、それもいいねwアイツらの顔見なくて済むし...でも、死ぬんならせめて、シズちゃんとか新羅とか正臣とか、あとドタチンとかに会ってから死ぬのも悪くないなw』

「.......忍音ちゃん、何かあったの?」

また、いつもの癖で感情を口から出してしまった。

『い.....や....。別に....』

「嘘。情報屋をなめちゃいけないよ。向こうの世界で何があったの?」

一番こいつに聞かれたくないんだが....

『だから、何もないって言ってr』

言いかけた時、臨也に腕を引かれた。

『っちょ、これ何回やったら気が済むんですか?』

「何回だろうね?」

『知りませんよ』

「向こうの世界で何か、あったんでしょ? 言ってよ。なんでも聞いてあげるからさ」

『ん...やめ....て、くださ...い///』

吐息混じりに耳元で囁かれる。
耳は私の弱点。そんなとこで囁くな!
とは言えず。つい変な声を出してしまった。

「耳、弱いんだ。可愛いね」

うっせーよ
誰のせいでこんなことになってるんだし。
と男気満々の私が心のどこかに....

『―っ!か、可愛くなんかないです!!』

「可愛いよ」

また耳元で囁かれる。

『だ.....から、耳元で...囁か...ないで、くだっさい///』

「忍音ちゃんが話してくれるまでここで囁き続ける。んで、向こうで何があったの?」

駄目だ、臨也に負けるぅぅぅぅ.....

『―/// 話すんで、私をあなたの腕から解放してください』

「ん〜。それは嫌だ」

こいつ何様だよ!

「今、失礼なこと考えていなかった?」

『は?な、何かの勘違いじゃ?』

「ん、まぁいいや。話してよ」

『んと...』

私は臨也に全てを話した。
いつの間にか泣いていたらしい。

『....っひっく...この世界なら...わ、私っを見て、っくてるのっかなって....』

「そっか....大丈夫。誰も#忍音#ちゃんの事見なくても、俺は見てるからさ」

『この...せかっい..っは、っ私っを見捨て、ないっで、くれまっすかね...?』

「少なくとも、俺は見捨てない」

そうして、臨也に抱かれた。

『あの...臨也さん、』

「ん?どうかした?」

『私の我儘ですが...お腹空きました...』

「ん〜、何が食べたい?」

『デュラの世界に来たからには、露西亜寿司が食べたいんですが...我儘ですよね?』

「露西亜寿司ね...いいよ。俺も最近食べてなかったし。池袋行こうか」

『え!?いいんですか?ありがとうございます!(ニコッ』

今日、私は臨也にこの上ない笑顔を見せたと思う。
そんな私を見て臨也も笑ってくれた。
あの、恐怖感を漂わせる雰囲気の笑顔じゃなくて純粋な笑みを返してくれた。
そんな臨也にちょっと顔が赤くなってしまった。

―私が好きな人はシズちゃんと正臣、シズちゃんと正臣!

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