長編、企画 | ナノ

がーるずとーく。


お風呂上がりの女の子の部屋はなんだか甘い香りがする。
そして花の女子高生がこれだけ集まれば、必須となるのは"おかし"と"恋バナ"だ。

森然のマネージャーがハイハ〜イと手をあげる。

「皆さんは〜、彼氏とかいらっしゃるんですか?」
「えーいないよ〜。」
「っつか、こんだけ部活ガッツリあるとできる気すらしないわ…。」
「って部活のせいにしてるけどね。」

生川マネ、梟谷マネがそれに続いて答える。
ちょっと残念そうな顔をしながら森然マネが振り向く。

「烏野のお三方は〜??」
「えぇっ私もですか!?いないですよ!!」
『同じくです!というかいたこともないです!』

自分たちにも聞かれているとは思っていなかった谷地と跳子が少し赤くなりながら答え、髪を拭いていた清水も首を振る。

「うっそ、意外!」
「え。何?付き合ってなくて、アレなの!?」
『??』

何故か4人が自分に詰め寄ってくるのを疑問に思いながら、跳子は首を振る。

((少なくとも跳子ちゃんは、烏野の主将さんと付き合ってるんだとばっかり…!!))

「…まぁでもそっかー。じゃあ彼氏いる人はいないんですね〜。」
「ふーん、じゃあ皆、"好きな人"は…?」

梟谷マネがニヤリとしながら本題を投下するが、皆フイっと目をそらす。

「あ。あ〜やし〜。」
「う…うるさーい!そっちはどうなのよ!」
「うぇっ!?」

生川マネのまさかのカウンターパンチにひるんだ梟谷マネは、少し考える素振りをする。

「…じゃあとりあえず、"ここにいる他校のバレー部に好きな相手がいる人"はいない?」
「「「??」」」

皆よくわからない質問に、キョトンとして首を振る。

「ならさ、とりあえず"好きな人"じゃなくて、"他校でかっこいいと思う人"の話しよーよ!」
「おっいいね!楽しそう〜!」

きゃいきゃい言いながら、お菓子が広がる中心に皆で集まる。
髪を拭き終わった清水や谷地と一緒に、跳子も飲み物を片手に寄っていった。

トップバッターはそもそもの話題提供者である森然マネからとなった。

「えっと、私は…。烏野の菅原さんとか音駒の夜久さんとか爽やかでタイプですね!」
「えー、だったら月島くんのがいいかな〜。」
「脱力系はちょっと苦手で…。でも烏野ってかっこいい人多いですよね!」
「…というか新顔だから新鮮ってだけなんじゃない?」

食いしん坊な梟谷マネがポテチを独り占めしながら口を出すが、最後に清水のツッコミが入る。
それに皆で大爆笑する。

「潔子さん、"新鮮"って!」
「でもホントいいと思う!烏野!主将さんとかかっこいいよね!」
『エッ!??』

生川マネが言った一言に跳子が一瞬不安そうに反応する。
一瞬ピタっと止まった後、生川マネがプーッと吹きだした。

「あはは!跳子ちゃん可愛い!…いやいや、大丈夫。あくまで"カッコイイ"だから。」
『あっ、いやその、そうですよね。ゴメンナサイ…。』

真っ赤になる跳子に、皆微笑ましく思う。

(この愛いヤツめ…。)

「んじゃ(もうすっかり好きな人はわかったけど)跳子ちゃんが他校で選ぶとしたら〜?」
「!ちょっと、アンタもう食ったの!?」

この短時間でポテチを食べ尽くした梟谷マネが、もう一人からツッコミを受けながらチョコを貪る。

『えっ!…んっとそうですね。生川の主将さんとか、梟谷の鷲尾さんや赤葦さんとかですかね。』
「ほぇ〜なんか意外なチョイスだね。その心は?」
『いえ、なんかシッカリした感じの寡黙な方とか弱いかもしれないです…。』
「音駒は?マネとかやってるじゃん誰かいないの??主将さんとかは?」
『黒尾さんですかー。なんか…手の上で転がされそうで…。』

確かにね〜と笑い合って跳子のターンは終わった。
跳子がホッと息をついた。

「じゃあ次!谷地ちゃんは!?」
「うぇぇ!?えっと、そうですね…。音駒の犬岡くんとか、あまり怖くない方の方がいいデス…。」
「怖くない方って。じゃあうちの猿杭とかどう??」
「あ、なんかほんわーってしますよね。ただ皆さん背が高くって…。巨人感がスゴイっす。」

巨人!!と皆でまた笑い出す。

梟谷マネも生川マネも一通り話し、いよいよオオトリの番となった。

「それじゃあいよいよ潔子さん!!ズバリ他校でいいと思うのは??」

谷地も跳子もそういう話を聞いた事がないし、学校ではもはや女神と崇め奉られる存在の彼女が誰の名前を出すのか気になるところだ。


「…そうね。他校で、ならダントツで…」

(ダントツなんだ!)
(うぉぉぉぉ!誰?誰?!)

自然と全員が前のめりになる。
何故だか緊張して、ゴクリと喉を鳴らした。

「音駒の…」

(音駒!)
(手堅いのは主将か夜久さんあたり!?)





「…猫又監督。」
「「「…。」」」
「…一番渋くて、カッコイイ。」


まさかの枯れ専。

(((潔子さん、まじパねぇッス…!)))

全員が清水潔子に何故か平伏す結果となった、そんな夜。


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