長編、企画 | ナノ

西谷夕



こなきじじいを極めるためか、田中が何故かランニングを始めたのを眺めて西谷が楽しそうに目を輝かせた。

「さすがだぜ龍…!跳子!俺のもくれ!」
『正直、ノヤっさんが一番難しかったよ…!』
「?そうなのか?」
『なんでも似合いそうでもあるんだけどね。ただこう妖怪の陰鬱とした感じが全くないんだよね、ノヤって。』

そう言いながらも「というわけで結果コレになったよ」と渡された衣装は、田中と同様に肌色の全身タイツに見えた。

「跳子!着たぞ!後は?!」
『ノヤっさん…さすがタイツぐらいじゃ動じないなんてカッコよすぎるわ…!後はコレをかぶるだけよ!』
「おぅ!」

楽しそうにかぶったのは、真ん丸の…目玉。
頭には手ぬぐいつき。

(((目玉のおやじーっ!!?しかし等身大!)))

縁下たちもランニングから戻ってきた田中も目をまん丸くしてその姿を見つめるが、当の西谷はたいして気にしていないようだ。

『コメディタッチでいて、尚且つ大人…!これを出来るのはノヤっさんしかいないわ!』
「そうか?そこまで言われたら照れるじゃねーか跳子!」
『後で台車に赤いお椀を用意するからセクシー入浴シーンを頼むわ!』
「任せろっ!」

いい笑顔で了承してくれる西谷を見て、跳子がどんどんと楽しくなってきたようで。
色々と頭に浮かぶ構成を次々に口にする。

『ぬりかべの旭先輩に台車押してもらうから!あ、もしくは一旦木綿の背中に乗って…、』
「お断わりします。」
『…チッ。』

一旦木綿くんは目玉のおやじさんほど心は広くはなかったようだ。


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