長編、企画 | ナノ

田中龍之介



ほーっと清水たちを見ていた田中が、ハッと気づいたように急にいい表情を作る。

「跳子!つまり俺は…雪男だな!」
「何っ!?」
『んなわけあるか!潔子さんとペアみたいにするわけないでしょ。』

その顔にベシッと紙袋を押し付けると、「えー」と文句を言いながら紙袋を開いた。
着替えてみると…肌色の全身タイツに、金印の赤い前掛けにみのという特徴的すぎる恰好。

「な…なんじゃコリャーッ!!」
「龍!似合うな!!」
「ぶっ!こなきじじい…!まんまこなきじじい…!!」

素直に褒める西谷と、その隣で笑いをこらえる縁下、成田、木下。
わなわなと震える田中に跳子がそっと杖を渡しながら、ウンウンと真剣な顔で頷く。

『さすがに高校生で裸に赤い前掛けはNGだと思って、配慮しました。』
「って全身タイツでもNGだバカ跳子!!」
『田中はさー、逆に選択肢がありすぎて迷ったわ。海坊主か小豆洗い、こなきじじいで悩みに悩んで…。』
「ってそれ全部坊主じゃねーか!」

憤る田中が手をつけられないと判断した跳子が、清水の方を振り返る。

『…潔子さん、お願いします。』

コクリと頷いた清水が「田中」と一声かけた。

「…似合ってる。」
「うぉぉぉ!俺はこなきじじいを極めるぜぇぇ!!」


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