長編、企画 | ナノ

山口忠



『次、やまぐーち!!』
「っはい!」

なんだか緊張した面持ちで、呼ばれた山口が跳子の元へ向かう。
笑顔の跳子から紙袋を受けとると、何故かゴクリと唾を飲み込んだ。


「…跳子さん、これで合ってますか?」
『おっ!合ってる合ってる!似合うね山口!』

不思議そうな表情の山口は、普通のお寺の小坊主のような格好だ。
仮装といえば仮装だが、妖怪っぽいかどうかがわからずに山口は戸惑っていた。
しかし思ったより普通で安心もしていたが。

「あの、これって何の妖怪ですか?」
『えとね、豆腐小僧のイメージなんだよねー。』
「豆腐小僧??」
『そう!本当は山口は猫又と思ってたんだけど、うち親戚か商店街で豆腐屋やっててさー。』

そう言いながら跳子がゴソゴソと自分の鞄から絹ごし豆腐を一つ取り出し、山口の手に持たせる。

『というわけで宣伝頼まれちゃった!山口よろしく!』
「荷が重い!!」

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