●●●日向翔陽

次に跳子は騒がしい後輩たちの元へ向かう。

跳子の姿を見て日向がパッと明るい顔をあげ「跳子先輩！」と手を振れば、周囲にいた影山たちもそちらを振り向いた。

『おっ、揃ってるねー！お待たせ！』
「ハイ！おれの服どんなのかな？！ワクワクすんなーオイ！」
「いって！日向ボゲェ！バシバシ叩くんじゃねー！」
「…君はどうせ"はだかの王様"とかじゃない？」
「ぷっ！ツッキーうまいね。」
「あ゛ぁ゛っ？！」

また余計なことを言う月島に影山が食いかかる。
未だに王様と言われるのはやはり嫌なんだなぁと思いながら、跳子が二人の顔をグイッと押さえた。

『ハーイ、喧嘩しなーい。まず日向はこれね！ちなみにテーマは"百鬼夜行"だから！』
「「…ひゃっき…？」」
『…まぁ妖怪シリーズってこと！だから王様とかはないからさ。』

紙袋を両手に抱えた日向が嬉しそうに着替えると、どこにでもあるような青い上下に足元は下駄。

「…？跳子先輩、これ妖怪ですか？」
『アレっ？！それしか入ってなかった？ちょっと待って他のに紛れてるかも…。』

別の紙袋をゴソゴソと漁った跳子が、「あった！」と見つけた最後の服を日向に手渡す。
ひろげてみれば、黄色と黒のシマシマ模様のちゃんちゃんこだ。
　
「先輩、…これってもしかしてゲゲゲの…。」
『そうそのもしかして、よ。んで仕上げにこうすれば…完璧！』

片目を隠すように髪を分ければ、かの有名な幽霊族の生き残りの少年の姿だ。

指をさして大笑いをする他のメンバーに日向がぐぬぬと歯を食いしばるが、跳子はバチっとウィンクを向ける。

『主役だし正義の味方だし最強だよ！日向、カッコいい！』
「おぉぉっ！！おれ、かっこいい！」


← | →