僕から強く手を握ろう
【着信100件、新着メール20件の続き】
俺の好きなアンチクショーはいつも殻に閉じこもってる。
人一倍ネガティブで、傷つきやすい。
めんどくせータイプけど何でかほっとけなかった。
んで、俺もアイツがいねーと何かダメだから。
「へ、変じゃない…?」
「変じゃねーって。さっさとしねーと遅刻しちまうぞ」
「うわ、もうこんな時間!?ごめん!」
今日から一緒に通う、銀魂高校。
緊張するから一緒に行ってくれなんて言われたけど俺はハナからそのつもりだった。
「………」
「…何キョロキョロしてんでィ」
「ひ、人目が……き、気になる…」
名前は制服姿とばっさり切った前髪をいつまでも気にしてる。
長い間人前に出なかったっていうのもあるんだろう。コイツにとって普通に道を歩くのは大変なよえだ。
でも、やっとここまで来れた
好きで好きでたまらなくて、来る日も来る日も押し掛けて、コイツには自分の中好き勝手に踏みにじられてたように取られてたと思う。
実は俺なりに嫌われないように、拒絶されないように必死で、けど本当はこうやって普通の恋人らしいこともしたかった。
「え、そ、そうご」
「何?」
「何って…手!手…握っ…」
「これじゃ不安かィ?」
「…………不安、じゃ…ないけど」
お前が絶対に放さないように
「学校まで…」
「ん」
title:31D
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