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 ▼似た者同士

双子シリーズ第三弾




「…おい、なんだその昼飯の量は」


すっかり季節が秋へと移り変わったとある日のお昼休みのこと。私の机に積み上げられた昼食をみて隆也が声を洩らした。食欲の秋、とは言うけれどそれにしたっていつもより多いと感じたのか、隆也は凄く心配そうな顔をしていた。

「ホントだ、いつもの倍あるんじゃない?」
「すげーな。どうしたんだ?」

隆也に続いて水谷君や花井君まで私の事を心配してきた。

「別に病気とかじゃないから気にしないで」
「それにしたってその量…」
「今ちょっと食べたい時期なの」
「秋だからか?」
「違うよ…あと二週間くらいなの」
「はぁ?何が」

この野郎、双子だからって何でも根掘り葉掘り聞いていいってもんじゃないぞ。二人きりの時ならまだしも、今は水谷君も花井君もいる。女としてはあまり言いたくない。

「あーもう察してよばか」
「?」

まぁ、案の定隆也はわかるはずもなく。でもこれ以上は説明する気もないので、私は食事を再開した。
皆さんはお気付きだろうが、あれだ。要するに生理の前に食欲が異常に増すあれだ。人によってはそんな事なかったり始まってからそうなる人もいるんだろうけど、私の場合二週間前の一週間が一番酷い。お腹いっぱいなのに食べ物を求めてしまう。

「……でもさすがにお腹いっぱい…」
「ほれみろ。残りは俺が食うぞ」
「だーめーそれ私の…!」
「食い意地張ってんなぁ…」
「何とでも言いなさい、花井君。食料は渡さないけどね」
「いらねーよ」

隆也から食料を死守する所を見ながら花井君が苦笑いしてきた。でも気にしない。取りあえず残りはとっておいて、後で食べよう。

「あ、そう言えばね、今日変な夢見た」
「変な夢?」

鞄の中に残ったご飯を詰め込んでいる最中に、ふと見た夢の話を切り出した。いの一番に水谷君が食いついてくる。

「隆也と私が実は他人だったって夢」
「俺とお前が?」
「うん。しかもね、それ聞いて隆也が実は私のこと好きだったっていきなり告白してきてさ」
「うげ…んな気持ち悪ィ夢見てんじゃねーよ…絶対あり得ねー」
「ホント…魘されたよ…」
「近親相姦ってやつ?」
「そこまでいってないよ水谷君!しかも他人だったって設定だからね」
「あ、そっか…」

水谷君の爆弾発言にはさすがに驚いた。私が隆也と?絶対あり得ない。

「…まぁ、お前ら似てるし、まず他人ってことはないんじゃないか?」
「え、似てる?どの辺?」

私と隆也は揃って花井君の方に顔を向けた。花井君は一瞬考える素振りをすると、ポツリと言葉を洩らす。

「…目元…かな」
「うそ、目元?私こんなに目つき悪くないよー」
「俺もこんなにたれ目じゃねぇ」
「いや似てるぞ、結構」
「あと性格もさぁ、なんだかんだ似てるよね」
「あーそうだなぁ」
「えー、私こんなに性格歪んでないよ」
「誰が歪んでるって?おめーの方がよっぽど歪んでんだろーが!」

ぎゃあぎゃあとここが教室だということも忘れて言い合いを始めた私達に、花井君達だけじゃなく他のクラスメートまで暖かい目を向けてきた。




結局、二人だけでは何の解決にもならず、やっぱり似たもの同士なんだと周りから強く言われて、渋々納得する事にした。まぁ別に隆也の事は嫌いじゃない。だって一応兄妹…双子だし。私の大切な片割れ…というか兄というか…そんな存在であることは今後も変わることはないと思う。


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