携帯をチェックする事が、私の日課となっていた。
 着信履歴に彼の名はないか。
 メールを見逃してやいないか。
 最初の頃はどんな状況でも、メールであれ、電話であれ、必ず連絡があった。
 しかし、時の流れと共に携帯の鳴る回数は激減していた。
 日に日に募る、不安との闘い。
 彼も忙しいのだし、迷惑だろうというのは分かっているのに、それでも勝手に手が動く。
 そして今日も、彼と繋がっている事を確かめるようにメールを打ち込む。

『お疲れ様。
 今日も忙しいの?
 時間が空いたら、電話かメールを下さい……』

 打ち込んだ後、軽く誤字脱字をチェックし、『送信』を押す。
 ゆっくりと、彼の元へ届けられるメッセージ。
 画面が『送信完了』を告げる。
 無事に届いた事を信じ、携帯を閉じる。
 後は返事を待つのみ。
 それ以前に、メールに目を通してくれているのか、そっちの方が気になる。
「お願いだから……不安を消し去って……」
 胸の前で携帯を強く握り締めながら、私は見えない彼に願いを託した。


- 35 -

しおりを挟む

[*前] | [次#]

gratitudeトップ 章トップ




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -