2
携帯をチェックする事が、私の日課となっていた。
着信履歴に彼の名はないか。
メールを見逃してやいないか。
最初の頃はどんな状況でも、メールであれ、電話であれ、必ず連絡があった。
しかし、時の流れと共に携帯の鳴る回数は激減していた。
日に日に募る、不安との闘い。
彼も忙しいのだし、迷惑だろうというのは分かっているのに、それでも勝手に手が動く。
そして今日も、彼と繋がっている事を確かめるようにメールを打ち込む。
『お疲れ様。
今日も忙しいの?
時間が空いたら、電話かメールを下さい……』
打ち込んだ後、軽く誤字脱字をチェックし、『送信』を押す。
ゆっくりと、彼の元へ届けられるメッセージ。
画面が『送信完了』を告げる。
無事に届いた事を信じ、携帯を閉じる。
後は返事を待つのみ。
それ以前に、メールに目を通してくれているのか、そっちの方が気になる。
「お願いだから……不安を消し去って……」
胸の前で携帯を強く握り締めながら、私は見えない彼に願いを託した。
- 35 -
しおりを挟む
[*前] | [次#]
gratitudeトップ 章トップ