同時に、彼は驚愕した。
(――ま、まさか……)
 信じられない思いで、何度も目を瞬かせる。
 そこにいたのは、亡くなったはずの美澪。
 いや。正確には“美澪に似た少女”だった。
 よく似てはいるが、その少女にはあどけなさが残っている。
 容浚を見つめる瞳も、どこか他人を見つめるような冷たさを感じた。
「君は、誰なんだ……?」
 やっとの思いで訊ねた。
 少女は彼を睨んだまま、何も言葉を発しない。
 暫しの間、沈黙が流れる。
「――あなたは」
 黙り込んでいた少女が、初めて口を開いた。
「私にどんな答えをお望みなのかしら?」
「望み?別にそんなものはない。ただ、純粋に訊ねてみたかっただけだ」
「純粋に……?」
 容浚の答えに、少女は鼻でせせら笑った。
「よく言えるわ。体から血生臭さをぷんぷんさせているくせに。
 しかも今になって、棄てた故郷に舞い戻ってくるなんて……。偽善もいいところだわ」
 少女の言葉一つ一つが、刃となって彼の心に突き刺さる。
 故郷を棄てたつもりはなかった。
 だが、結果的にはそうなってしまったのだ。
 この村で生き残ったのは、彼一人。
 死者から怨まれても仕方のない事だろう。


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