「ライ様、生憎ルカは図書館に行って此処には居ません。」


ルカの部屋から出て来たシュラが俺に気付き会釈しながら言った。





「…いや、用が有るのはシュラだ。」



「えっ、私…ですか?」



きょとんとする彼女にホワイトデーの話を詳しく説明し、ルカの趣味や好きな物を知らないか聞いた。







「ルカは…花や動物など好きですね。よく中庭にも行っていますし。」






花や動物。

確かに中庭で花を眺めている姿をよく見かける。






「そうか。すまない。」



「いいえ。ライ様、ルカは本当に心優しい人間ですね。傍に居るだけで癒されると言うか、不思議な感じです。」



その言葉に無意識に口角を上げていた。




「…ライ様も、ルカが来てから表情が豊かになられました。」




俺が?



…確かに笑う自分が居る。
こうやって他人の事を知りたいと思ったのも初めてだな。













ルカ、お前は不思議だな。
顔は綺麗とは言えないが、心は誰にも負けない程綺麗で優しい。







だから此処マリンブルーで、ルカの魅力に惹かれる奴が沢山居る。






勿論、俺もその一人になる訳だが……。


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