3
誰にも渡す気は無い。
ここまで俺を本気にさせた奴を逃がす事は出来ない。
何より、ルカには俺の傍に居て欲しい。
それは、俺の我が儘かもしれないが…。
―数日後―
「…ルカ、ちょっと良いか?」
「あっ、はい。どうしたの?」
椅子に座り、本を読んでいたルカに声をかけたら直ぐに俺の前までやって来た。
自然と見上げる形となり、じっと見つめられたら理性がヤバイ。
「ちょっと行きたい所がある。」
「えっ、ひゃ…。」
ルカを抱き上げ、ベランダに歩く。
抱き上げられた為にルカは顔を赤くし、焦っている様子がまた可愛い。
「しっかり捕まっててくれ。両手は首に。」
「はっ…はい。」
渋々首に手を廻したのを確認して、背中に羽根を出した。
羽根を羽ばたかせ、空へと高く飛ぶ。
ルカは怖いのか目をつぶった侭で何も言わない。
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