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口元で白煙が舞いあがる。
それは本当に瞬くような間の出来事だけれど。
「道理で冷え込むはずだわ。…すごい星の数ね。よく晴れている」
鳶色の瞳を細めるようにして、空へと目を投げる。
挨拶のように。
「体の調子はどう? リュー」
リューナート自身も、能力のある祓魔師だ。
けれど、先の戦争で、その身を削る闘い方を選んだことから、しばらくの間、ひどく衰弱をしていた。
陣を解くという治療に携わっているミアリは、彼の体をよく気にかける。
今では力こそ弱いけれど、相変わらず無尽蔵の知識を持っている少女。
「………いい」
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