幾度目かの冬を迎える。
凍てつくような冷気に、世界の鼓動が静まりかえるような、夜。
冬を極めたような、凛とした空気。
星々が遥か彼方から、光を送り届ける空。

ひとりの男が、音もたてずに、静かに戸外へ佇んでいた。
真っ白な神父服を身に纏い、かつては腰より長く伸ばしていた金色の髪を、今では肩の辺りで切りそろえている。

彼は、音もなく、言葉もなく、ただ夜の闇を見つめている。
その奥に、無数に瞬く星の光があるというのに。
淡い青の瞳は、しんしんと闇を見越すかのように。

―――いつも齟齬を感じる。
生まれついてのようにも思えるが。

この教会に身を置いて、しばらくの月日が流れたところで、どうにも収まりの悪さを感じるのだ。

それは、どこにいようとも同じことであったけれど。

…いつも、そうなのだ。
此処にいる、と思っていても、自分の足元に時折不安を覚える。
生来の気質ではあるが、どうにも据わりが悪く、ひどく落ち着かない心地に陥る。

「…リュー? 中へ入ったほうがいいわ。冷えるから」


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