ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「ミト、駄目よ!
みつかったら大変なことに…」

「大丈夫!
そんなへましないわ!」



私は、あたりを見渡しながらおろおろしているレナに手を振り、広い空へ飛び出した。
翼を広げて、色を変え始める広い空に身体を預け、眼下に広がる人間達の小さな世界を眺めて……そして、ゆっくりとそちら側へ近付いて行く。
こんな手間のかかることをしなくても、頭に思い描けば簡単にその場所に行く事が出来る。
まだ一人前とは言えない私にだって、そのくらいのことは出来るけど…
それじゃ、あまりに味気ない。
だって、空はこんなにも気持ちが良いんだもの…



まだ半人前の私には学ぶことが山程あって…まるで人間と同じような制約に縛られている。
その中でも一番面白くないのが、人間に関わってはいけないというもの。
人間に関わってはいけないから、当然、地上に行く事は禁じられている。
天使の役割は人間を助けたり守ったり導いたりすることだけど、その方法を間違えると人間に良くない影響を及ぼしてしまう。
だからこそ、長く厳しい修行を積まなければならないってことらしいけど…
習うより慣れろっていう諺が地上にはある。
勉強ばかりしてるより、生身の人間に触れたほうがきっとわかることが多いと私は思ってる。
そうでなくても、地上は面白い。
人間は興味深い。
天使を呼ぶ声も、毎日、数え切れない程聞こえてくる。
半人前って言ったって、私にもきっと何か出来る筈…
人間の役に立てる何かがきっと……


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