ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「な、なんじゃ、こりゃあ〜!」

次の朝、サンドラは四人を畑を裏山へ連れ出した。
四人の目の前にそびえるのは、長身のクラウトドのゆうに三倍はある程の巨岩だった。



「こ、これですか…」

「き、汚いぞ!
こんな大きな岩だなんて、昨夜は言わなかった!」

「魔女のわしが対処出来ん岩なんじゃぞ。
そんな小さな岩だと考える方がおかしいじゃないか。」

サンドラは、涼しい顔でうそぶいた。



「…い、いくらなんでもこの岩は……い、いえ、カルフ様とヴェリエル様の肝が…お命がかかっているのです!
私は命懸けで頑張ります!!」

「クラウド…頼んだぞ!」

「クラウドさん……」

カルフとヴェリエルは、クラウドの手を握り、涙で潤んだ瞳でみつめ、クラウドは二人に向かって微笑みながらゆっくりと頷いた。



「頑張ります!」

クラウドは、大きく深呼吸をして岩に手をかけ、腰を落とし、満身の力をこめて岩を持ち上げようとする。
みるみるうちにクラウトの顔は真っ赤になり、こめかみには青い血管が浮き出した。




「クラウド、頑張れ〜!」

アルルは、そこらで摘んで来た花を振りまわし声援する。
しかし、そんな巨石が人間の力で持ち上げられる筈はなかった。



「……も、申し訳ございません…」

その場に膝と腕を着き、ぜいぜいと肩を大きく動かしてクラウドは苦しそうに頭を下げた。



「そうか、残念じゃな。
あんたは力持ちらしいから動かせるかと思ったのにのう…」

サンドラはわざとらしいことを言いながら、嬉しそうな笑みを浮かべた。



「カイン…ヴェリエル…
クラウドを恨むんじゃないよ…」

アルルは、がっくりとうな垂れるヴェリエルの肩に優しく手を置いた。



「こ、こ、こ、このあまーーー!
一体、誰のせいでこんな……」

アルルに出会ってからはろくなことがなかった。
アルルのせいで今までに被った被害をあれこれと思い出し、真っ赤になって怒るカルフの脳裏に、ある計画がひらめいた。



「おい、サンドラ!
考えてみたらこの賭けはあまりにずるいぞ!
天使の肝は人間の肝よりもさらに貴重だと言っておきながら、泊めてやるだけなんてあまりにもこっちの分が悪い。
あんたのお気に入りの銘酒を十本差し出してもらおうか。」

「な、何?わしの銘酒をだと?」

その言葉に、アルルの目の色が変わった。


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